
こんにちは。「じぶん防犯」代表、防犯設備士の守(まもる)です。 私は防犯設備士として、セキュリティ関連企業に10年以上勤務し、これまで数多くのご家庭や企業の防犯対策に携わってきました。
その経験の中で、近年もっとも「革命的」だと感じているのが、今回ご紹介する「ソーラー充電式防犯カメラ(以下、ソーラー防犯カメラ)」です。
昔は防犯カメラといえば、「業者による大掛かりな工事が必要」「費用が数十万円かかる」のが当たり前でした。
しかし、このソーラー防犯カメラの登場により、「誰でも・安く・簡単に」自宅を監視できる時代が到来しました。
ただ、正直に申し上げますと、ソーラー防犯カメラは「万能」ではありません。正しい選び方や設置方法を知らないと、「冬場に充電が切れて動かない」「肝心な時に録画されていない」といった失敗をしてしまう方が非常に多いのです。
そこで今回は、防犯のプロである私が、初心者の方に向けて、ソーラー防犯カメラの基礎から、絶対に失敗しない選び方、プロならではの設置テクニック、そして最大の敵である「冬」の乗り越え方まで、徹底的に解説します。
この記事を読めば、あなたはもう迷うことなく、自分の家に最適な一台を見つけることができるはずです。
第1章:なぜ今、ソーラー防犯カメラが選ばれるのか?
変化する日本の犯罪事情と「自主防犯」の必要性
まず、なぜ私たちが防犯カメラを設置する必要があるのか、最新のデータを見てみましょう。
警察庁の令和5年の統計によると、侵入窃盗(空き巣など)の認知件数は依然として警戒すべき水準にあります。特に注目すべきは、侵入窃盗の発生場所です。
| 発生場所 | 特徴と傾向 |
|---|---|
| 一戸建て住宅 | 侵入窃盗全体の29%を占め、最も狙われやすいターゲットとなっています 。 |
| 共同住宅 | 高層階のベランダや、オートロックのないマンションも標的になります。 |
| 一般事務所 | 閉店後のオフィスや店舗も、現金やOA機器狙いの被害に遭っています。 |
かつては「水と安全はタダ」と言われた日本ですが、今は「自分の身は自分で守る」時代です。
特に、強盗のような凶悪な手口もニュースで見かける昨今、「家に泥棒を近づけない(抑止力)」としての防犯カメラの重要性は、かつてないほど高まっています 。
ソーラー防犯カメラが起こした「3つの革命」
私がこの業界に入った頃は、屋外にカメラをつけるとなれば、壁に穴を開けて電源コードを屋内に引き込む工事が必須でした。
これだけで工賃が数万円かかります。しかし、ソーラー防犯カメラはこれらを過去のものにしました。
- 電源工事が不要(配線レス革命) 太陽光で発電し、内蔵バッテリーに電気を溜めるため、コンセントが一切不要です。電源のない駐車場、庭の奥、玄関、畑など、「太陽さえ当たればどこでも」設置できます 。これが最大のメリットです。
- 電気代がタダ(ランニングコスト革命) 日々の電気代がかかりません。昨今の電気代高騰を考えると、家計に優しいのは大きな魅力です。
- 災害に強い(リスク分散革命) 地震や台風で地域一帯が停電しても、ソーラーカメラは独立した電源を持っているため、稼働し続けることができます。災害時の状況確認や、混乱に乗じた犯罪の抑止にも役立ちます 。
知っておくべき「仕組み」と「弱点」



「ソーラーカメラを買ったけど、失敗した!」
という方の多くは、この「仕組み」を理解せずに導入してしまっています。初心者の方にもわかりやすく、メカニズムを解説しましょう。
「常時録画」ではない?バッテリーカメラの宿命
一般的なコンセント式の防犯カメラは、24時間365日、映像を垂れ流しで録画し続けます(常時録画)。
しかし、多くのソーラー防犯カメラは「イベント録画(動体検知録画)」という方式を採用しています 。
- 待機時(スリープ): 何も起きていない時は、カメラは「寝て」います。この時の消費電力は極わずかです。
- 検知時(起床): 人や車が通ると、センサーが反応してカメラを「叩き起こし」、録画とスマホへの通知を行います。
なぜこうするかというと、限られたバッテリーと太陽光エネルギーだけで24時間動かすには、徹底的な節電が必要だからです。
(※最近では、大型パネルを搭載して24時間連続録画ができる高級モデルも登場していますが、基本はイベント録画と考えてください )
センサーの仕組み(PIRセンサー)
ここが非常に重要です。ソーラーカメラは、テレビのリモコンのような「PIRセンサー(熱感知センサー)」を使っています 。
| センサーの種類 | 仕組み | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| PIRセンサー(熱源検知) | 人や動物が発する「赤外線(熱)」の動きを感知します。 | 待機電力がほぼゼロで済むため、電池式カメラに最適。 | ガラス越しには反応しない(ガラスが熱を遮断するため)。気温と体温が近い夏場は反応が鈍る。 |
| 動体検知(映像解析) | 映像の中でピクセルが変化したことを感知します。 | ガラス越しでも反応する。 | 常に映像を解析し続けるため、消費電力が大きく、通常のソーラーカメラには不向き。 |
重要ポイント
よくある失敗が、「窓ガラス越しに室内から外を監視しようとする」ことです。
PIRセンサーはガラス越しでは熱を感知できないため、泥棒が目の前を通ってもカメラは反応しません 。防犯カメラは必ず「屋外」に出して設置してください。
ソーラーパネルとバッテリーの関係
ソーラーパネルは「発電所」、バッテリーは「ダム」だと考えてください。
- 昼間:太陽光で発電し、ダム(バッテリー)に水を貯めます。同時にカメラも動かします。
- 夜間・雨天:ダムに貯まった水を使ってカメラを動かします。
ダムの水(バッテリー残量)が尽きると、カメラは止まります。したがって、「どれだけ大きなダムを持っているか(バッテリー容量)」と、「どれだけ効率よく発電できるか(パネル性能)」のバランスが命となります。
プロが教える「失敗しない選び方」7つの基準
Amazonや楽天で「防犯カメラ ソーラー」と検索すると、数千件の商品が出てきます。



「どれが良いのかわからない!」
という方のために、プロの視点で選定基準を7つに絞りました。
① 画質は「200万画素」以上が最低ライン
防犯カメラの映像は、何かあった時の「証拠」です。犯人の顔や車のナンバーがぼやけていては意味がありません。
- 200万画素(Full HD): 最低限これくらいは必要です。人物の服装や行動は分かります。
- 300万〜400万画素: 私がおすすめするのはこのラインです。少し離れた場所のナンバープレートや、手元の動きまで鮮明に記録できます 。
- 800万画素(4K): 非常に高画質ですが、データ容量も大きくなるため、Wi-Fiの速度が必要です。
② 夜間撮影モード:「カラー」か「白黒」か
夜間の防犯には2つのアプローチがあります。
- 赤外線暗視(白黒映像): 目に見えない光を使うので、近隣に迷惑をかけずにひっそりと監視できます 。
- LED発光(カラー映像): センサーが反応すると「ピカッ!」とライトが光り、カラーで撮影します。これは「威嚇効果」が抜群です。「見ているぞ!」と泥棒にアピールできるため、侵入そのものを諦めさせる効果があります。最近はこちらが主流になりつつあります 。
③ 通信方式:Wi-Fiか、SIMカードか
設置場所にWi-Fiが届くかどうかが分かれ道です。
| 通信方式 | 特徴 | おすすめの設置場所 | コスト |
|---|---|---|---|
| Wi-Fiモデル | 自宅のWi-Fiルーターに接続します。スマホで映像を見るにはWi-Fi環境が必須です。 | 玄関、庭、ベランダ、駐車場(家の近く) | 通信費は自宅のネット代に含まれるので実質0円。 |
| SIMカードモデル | スマホと同じように、携帯電話の電波(4G/LTE)を使います。Wi-Fiがない場所でも使えます 。 | 離れた駐車場、畑、果樹園、資材置き場、別荘 | 月額の通信費(SIMカード代)が必要。月額500円〜2,000円程度 。 |
「Wi-FiもSIMも不要」という録画専用モデル(SDカードを取り出してPCで見るタイプ)もありますが、スマホでリアルタイム監視ができないため、利便性は下がります 。
④ バッテリー容量:大きければ大きいほど正義
ここはケチってはいけません。バッテリー容量は「mAh(ミリアンペアアワー)」という単位で表されます。
- 5,000mAh〜6,000mAh: 安価なモデルに多いですが、冬場や雨続きの日には不安が残ります。
- 10,000mAh〜15,000mAh: 標準的な容量です。
- 20,000mAh以上: 超大容量モデルです。無日照でも長時間稼働できるため、非常に安心感があります 。
⑤ センサー性能:「AI人体検知」は必須
古いタイプのカメラは、揺れる木の枝や、飛んできた虫、野良猫にも反応して通知を送ってきました。
これでは「オオカミ少年」になってしまい、肝心な通知を見逃してしまいます。
最新のカメラには「AI人体検知(ヒューマン検知)」機能がついています。
これは、AIが「これは人間だ」と判断した時だけ録画・通知する機能です。誤報が減り、バッテリーの節約にもなるため、この機能がついているものを選びましょう 。
⑥ パネル形状:「一体型」か「分離型」か
- 一体型: カメラの上にパネルが乗っているタイプ。取り付けは簡単ですが、「カメラを下に向けたいのに、パネルも一緒に下を向いてしまって日が当たらない」というジレンマが起きます。
- 分離型(セパレート): カメラとパネルがコードで繋がっているタイプ。カメラは日陰の軒下に設置し、パネルだけ日当たりの良い南側に設置できるため、発電効率が圧倒的に良いです。設置の手間は少し増えますが、プロとしてはこちらを推奨します 。
⑦ アプリの使い勝手とサポート
毎日使うのは「スマホアプリ」です。アプリが使いにくいと、せっかくのカメラも台無しです。
また、海外製の激安カメラの中には、アプリの日本語が変だったり、サポートと連絡がつかなかったりするものもあります。万が一のトラブルを考えると、「日本メーカー」や「日本法人がある大手メーカー」を選ぶのが無難です 。
設置場所別の攻略ガイド
「どこにつけるか」で防犯効果は天と地ほど変わります。場所別のポイントをまとめました 。
玄関・エントランス
ここは「家の顔」であり、不審者が最初にインターホンを押しに来る場所でもあります。
駐車場・ガレージ・カーポート
車上荒らしや、タイヤの盗難、イタズラ(10円パンチ)が多発する場所です。
庭・勝手口・裏口
人目につきにくい「死角」になりやすく、泥棒の侵入経路として最も危険な場所です。
畑・果樹園・資材置き場(Wi-Fiがない場所)
農作物の盗難被害は深刻です。
DIYでできる!プロ直伝の設置テクニック



「業者に頼むとお金がかかる…」
大丈夫です。ソーラーカメラはDIYで設置できるように設計されています。
設置前の「儀式」:初期充電とペアリング
買ってすぐに壁に取り付けてはいけません!まずは室内で準備をします。
- 満充電にする: 新品のバッテリーは空に近いことが多いです。付属のUSBケーブルを使って、家の中でコンセントから100%まで充電してください。これをやらないと、初日からバッテリー切れを起こします。
- Wi-Fi設定(ペアリング): ルーターの近くで、スマホとカメラを接続設定します。外に取り付けてから「Wi-Fiが繋がらない!」となると、また外してやり直しになります。
設置位置の黄金ルール「南向き・高さ3メートル」
- パネルは「真南」へ
日本では、太陽は南の空を通ります。パネルは南向き、角度は30度〜45度くらい(冬の太陽も拾える角度)に設置するのが鉄則です 。 - 高さは2.5m〜3.5m
低すぎると:カメラを持ち去られたり、叩き壊されたりします 。
高すぎると:メンテナンス(レンズ拭きなど)ができず、犯人の顔も頭頂部しか映りません。
脚立に乗ってギリギリ手が届くか届かないか、くらいの高さがベストです。
壁に穴を開けない取り付け方法
賃貸の方や、新築で壁を傷つけたくない方におすすめの方法があります。
- ポール取り付けバンド(ステンレスバンド): 雨樋(あまどい)やカーポートの支柱、ベランダの手すりなどに、金属のバンドで縛り付ける方法です。多くのソーラーカメラにはこのための「ブラケット」が付属しているか、別売りで数百円で売っています。これが最も頑丈でおすすめです。
- 強力両面テープ: 最近のカメラは軽量ですが、屋外は雨風や温度変化があるため、テープだけだと数年で落下するリスクがあります。あくまで補助的な手段と考えてください。
- エアコンダクトの活用: もし電源を引きたい場合でも、エアコンの配管穴を利用すれば、壁に穴を開けずにケーブルを通せることがあります。
Wi-Fiが届かない時の裏技



「庭の端っこに設置したいけど、Wi-Fiが一本しか立たない…」
そんな時は、「Wi-Fi中継機(リピーター)」を使いましょう。 コンセントに挿すだけの数千円の機器を、ルーターとカメラの中間地点(例えば、庭に面した部屋の窓際のコンセント)に設置するだけで、電波状況が劇的に改善します 。
防犯カメラの映像がカクカクするのは、多くの場合、カメラの性能ではなくWi-Fiの電波不足が原因です。
最大の敵「冬」を乗り越える!メンテナンスとトラブルシューティング
ソーラーカメラにとって、冬は地獄です。 日照時間は短い、太陽は低い、雪や曇りで発電できない、そして「寒さでバッテリー性能が落ちる」からです 。
リチウムイオンバッテリーは、スマホと同じで、寒さに弱いです。氷点下になると、本来のパワーの半分も出せないことがあります。
冬場の「充電できない」を防ぐ対策
- 設定を「省エネモード」に変更する: 冬の間だけ、検知感度を少し下げたり、録画時間を短くしたりして、バッテリーの消費を抑えます。
- パネルの雪下ろし: パネルの上に雪が積もったら発電量はゼロです。設置場所は、棒などで雪を払える場所にするか、パネルの角度を急にして雪が自然に滑り落ちるように工夫しましょう 。
- USB充電(最終手段): もし天気が悪くてバッテリーが切れてしまったら、カメラを取り外して家の中でUSB充電してください 。これが一番確実な回復方法です。「冬に数回は充電が必要になるかもしれない」と最初から覚悟しておけば、イライラしません。
- 寒冷地仕様のカメラを選ぶ: 北海道や東北などの寒冷地では、バッテリーにヒーターを内蔵したモデルや、外部電源も使えるハイブリッドモデルを検討することをおすすめします 。
よくあるトラブルと解決策
結論:防犯カメラを設置するというのは、「家族を守るための小さな思いやり」です。
泥棒対策だけでなく、「ここは安心して暮らせる家だ」と周囲に示すこと。そして、家族が不安なく過ごせる環境を整えることが本当の目的です。
ソーラー防犯カメラは、その第一歩を手軽に踏み出すための心強い味方です。工事も電気代も不要。ただ、あなたの「試してみよう」という前向きな気持ちがあれば十分です。
この記事があなたの住まいを守るきっかけになれば、防犯設備士としてこれ以上嬉しいことはありません。
ぜひ、ご家庭に合った一台を選んで、より安心できる暮らしを手に入れてください。









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