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プロが徹底解説!防犯フィルムの効果と選び方|空き巣対策で後悔しないための全知識

防犯スペシャリスト「守」

はじめまして。「じぶん防犯」代表の守(まもる)です。私はセキュリティ関連企業に10年以上勤務し、家庭用から業務用まで数多くの防犯対策に携わってきました。

その経験から、侵入犯罪が被害者の方々の心に残す傷の深さと、適切な対策がもたらす安心感の大きさを痛感しています。

この記事をお読みのあなたは、ご自宅やご家族の安全について、真剣に考えていらっしゃることでしょう。

そのお気持ちは、非常に大切です。警察庁の統計によると、長年減少傾向にあった住宅への侵入窃盗が、近年再び増加に転じています 。

刑法犯認知件数は、平成8年から平成14年にかけて増加し続け、同年には約285万件に達しました。その後、平成15年からは減少に転じ、令和3年まで減少してきましたが、令和6年は73万7,679件と、戦後最少となった令和3年から3年連続して増加(前年比4.9%増加)しています。

引用:警察庁 住まいる防犯110番 データで見る侵入犯罪の脅威

もはや

「うちは大丈夫」

という考えは通用せず、主体的に対策を講じることが不可欠な時代になりました。

では、何から手をつければ良いのでしょうか。その答えは、多くの場合、家の中で最も無防備な場所、すなわち「窓」にあります。

この完全ガイドでは、数ある防犯対策の中でも特に効果的で、多くの方が導入しやすい「防犯フィルム」について、その真の効果から正しい選び方、そして多くの人が陥りがちな失敗例まで、私の知識と経験を余すところなくお伝えします。

大切なご家族と財産を守るため、ぜひ最後までお付き合いください。

目次

侵入犯罪のリアル。なぜ「窓」の防犯が最重要なのか?

防犯対策を考える上で、まず直視すべきは「事実」です。警察庁のデータは、侵入犯がどこから入ってくるのかを明確に示しています。一戸建て住宅において、侵入犯が最も多く利用する侵入口、それは「窓」なのです 。

【一戸建て】

無締り 47.6%

ガラス破り35.7%

ドア破り 2.6%

引用:警察庁 住まいる防犯110番 侵入窃盗の侵入手口(※令和6年)

そして、その窓を突破するために使われる手口で最も多いのが、単純かつ暴力的な「ガラス破り」です 。これは稀な手口ではなく、侵入窃盗犯が最も得意とする主要な戦術です。

データで見る脅威

2024年(令和6年)の統計では、一戸建て住宅への侵入窃盗のうち、実に35.7%がガラス破りによるものでした 。

【侵入手口 一戸建て】

無締り 47.6%

ガラス破り35.7%

ドア破り 2.6%

出典:警察庁 住まいる防犯110番 侵入窃盗の侵入手口(令和6年)

増加するリスク

侵入窃盗の認知件数は約20年間にわたり減少してきましたが、2023年には前年比で増加に転じ、特に住宅対象の侵入窃盗は11.3%も増加しました 。2024年は再度減少したものの、この事実は防犯意識の緩みが新たなリスクを生むことを示唆しています。

侵入窃盗の認知件数は、平成15年から減少に転じて、令和5年は一時的に増加したものの、令和6年は4万3,036件で前年比-2.7%と減少しています。


このうち住宅対象侵入窃盗は、平成16年から概ね減少傾向にあり、令和6年は1万6,000件で前年比-8.4%と減少しています。


それでも一日当たり約44件の侵入窃盗が発生しており、未だ多くの住宅が被害に遭っているのです。

出典:警察庁 住まいる110番 侵入窃盗データ

以下の表は、侵入犯がどのような手口で住宅に侵入しているかを示したものです。「ガラス破り」がいかに大きな脅威であるか、お分かりいただけるでしょう。

侵入手段一戸建て住宅共同住宅(3階建以下)共同住宅(4階建以上)
無締り47.6%51.0%42.5%
ガラス破り35.7%18.1%8.5%
ドア錠破り2.6%1.0%2.1%
その他3.0%2.8%4.2%
出典:警察庁 住まいる110番 侵入窃盗データ

この表が示すように、施錠されていない「無締り」に次いで、一戸建て住宅では「ガラス破り」が圧倒的に多い侵入手段です。

つまり、窓ガラスをいかに守るかが、戸建て住宅の防犯の要なのです。

泥棒の心理を逆手に取る「5分の壁」

では、窓の防犯の目的は何でしょうか。それは、窓を絶対に破られない鉄壁の要塞にすることではありません。侵入犯にとって、ガラスを破る行為を「難しく」「うるさく」、そして何よりも「時間がかかる」ものに変えることです。

ここに、防犯対策の最も重要な原則があります。

侵入の「5分ルール」

警察庁の調査によると、侵入に5分以上かかると、泥棒の約7割が犯行を諦めるというデータがあります 。10分かかれば、ほとんどの侵入犯が諦めて立ち去ります。

侵入に手間取り、5分かかると侵入者の約7割はあきらめ、10分以上かかると侵入者のほとんどはあきらめるといいます。「侵入に時間をかけさせる」。これが、侵入されるかどうかの大きなポイントになります。

引用:警察庁 住まいる防犯110番 侵入者プロファイリング

泥棒が最も嫌うのは、捕まるリスクです。侵入に時間がかかればかかるほど、誰かに見つかったり、通報されたりする危険性が高まります。彼らは「時間をかけずに、静かに、素早く」侵入できる家を常に探しています。

この侵入犯の心理こそが、私たちが突くべき弱点です。防犯フィルムの最大の目的は、ガラスを破る時間を長引かせ、この「5分の壁」を作り出すことにあります。

ガラス破りという物理的な攻撃に対し、時間という心理的な防御で対抗する。これが、防犯フィルムが非常に有効な理由なのです。

防犯フィルムとは?「飛散防止フィルム」との決定的な違い

防犯フィルムの重要性をご理解いただいたところで、次はその正体について詳しく見ていきましょう。

残念ながら、多くの方が誤解している点があり、それが防犯上の大きな落とし穴になっています。

本物の防犯フィルムの構造

まず、防犯フィルムは単なるプラスチックのシートではありません。強靭なポリエステルフィルムを何層にも重ね合わせ、非常に強力な特殊粘着剤でガラスに貼り付けるハイテク製品です 。

衝撃が加わると、ガラス自体は割れるかもしれません。しかし、フィルムが割れたガラスの破片をしっかりとつなぎ止め、簡単には貫通させないのです 。

これにより、侵入犯は穴を開けるために何度も執拗に叩き続ける必要があり、大きな音と時間を費やすことになります。

最も危険な勘違い:「防犯」と「飛散防止」は全くの別物

ここで、私が防犯のプロとして最も強く警告したい点をお伝えします。それは、「防犯フィルム」と「飛散防止フィルム」を絶対に混同してはならない、ということです 。

飛散防止フィルム

こちらは主に地震や台風などの災害対策用の製品です。厚さは一般的に100μm(ミクロン)以下と薄く、その目的はガラスが割れた際に破片が飛び散るのを防ぐことだけです 。侵入を試みる泥棒の攻撃に対しては、ほとんど抵抗できず、簡単に破られてしまいます。

防犯フィルム

こちらは侵入犯罪対策用に設計された製品です。厚さは最低でも200μm以上、高性能なものでは350μm以上あり、繰り返し加えられる衝撃に耐え、侵入を遅らせることを目的としています 。

この違いを知らずに、ホームセンターなどで安価に売られているフィルムを購入してしまうケースが後を絶ちません 。

多くの場合、それらは災害対策用の「飛散防止フィルム」であり、防犯効果は期待できません。これを貼って「対策は万全だ」と思い込んでしまうことほど、危険なことはありません。それは、泥棒に「どうぞ入ってください」と無防備な窓を差し出しているのと同じことなのです。

製品を選ぶ際は、必ず「防災」目的か「防犯」目的かを確認し、その性能を見極める必要があります。

防犯だけじゃない!プロが語る防犯フィルム5つのメリット

防犯フィルムは、空き巣対策として非常に有効ですが、その価値は防犯だけにとどまりません。

むしろ、日々の暮らしの質を高める多くのメリットを兼ね備えた、多機能なホームソリューションと捉えるべきです。

ここでは、専門家の視点から、防犯フィルムがもたらす5つの重要なメリットをご紹介します。

 防犯効果(侵入抑止)

これが最も重要な効果です。強靭なフィルムがガラスの強度を高め、泥棒の主な手口である「こじ破り(ドライバーなどで割る)」や「打ち破り(ハンマーなどで叩き割る)」に対して強力な抵抗力を発揮します 。

ガラスという家の弱点を、侵入に時間のかかる強固なバリアへと変えることで、犯行を未然に防ぎます。

防災効果(飛散防止)

防犯用に設計された厚く強力なフィルムは、災害対策用の飛散防止フィルムを遥かに凌ぐ性能を持っています。

地震や台風でガラスが割れた際、フィルムが破片をしっかりと保持し、室内への飛散を防ぎます 。

飛び散ったガラスによる二次災害は非常に危険であり、家族の安全を守る上でこの効果は計り知れません。

UVカット効果(紫外線対策)

高品質な防犯フィルムのほとんどは、有害な紫外線を99%以上カットする機能を持っています 。

これにより、フローリングや畳、カーテン、家具、絵画などの日焼けによる色褪せや劣化を防ぎ、大切な資産の価値を長く保つことができます。

これは、お肌の日焼け対策にもつながります。

安全性向上(ケガ防止)

フィルムを貼ることでガラス全体の強度が向上するため、日常生活での不慮の事故からも家族を守ります。

例えば、子どもが遊んでいてボールをぶつけてしまったり、掃除中に誤って物を倒してしまったりしても、ガラスが割れにくくなります 。

万が一割れた場合でも、破片が飛び散りにくいため、大きなケガにつながるリスクを大幅に低減できます。

透明性の維持(景観保護)

「フィルムを貼ると部屋が暗くなるのでは?」

と心配される方が多くいらっしゃいます。

しかし、ご安心ください。現在の高品質な防犯フィルムは非常に透明度が高く、可視光線透過率が85%以上を維持している製品がほとんどです 。

そのため、専門家が説明しなければ貼ってあることに気づかないレベルで、お部屋の明るさや窓からの美しい景色を損なうことはありません。

このように、防犯フィルムへの投資は、単一の防犯対策にとどまらず、防災、資産保護、健康、安全という複数の価値を同時に手に入れることを意味します。

この多面的なメリットを理解することが、適切な製品選びと納得のいく投資判断につながるのです。

プロの選定基準|本当に効く防犯フィルムの見分け方

さて、ここからは最も実践的な内容に入ります。数ある製品の中から、本当に効果のある防犯フィルムをどう見分ければよいのか。

プロが現場で重視する4つの選定基準を、具体的にお教えします。これを押さえれば、後悔のない選択ができるはずです。

Point 1: 信頼の証「CPマーク」を理解する

防犯製品を選ぶ上で、最も信頼できる指標が「CPマーク」です 。

CPマークとは?

これはメーカーが自称する「防犯」とは一線を画す、公的な認証制度です。「CP」とはCrime Prevention(防犯)の略。警察庁、国土交通省、経済産業省などが参加する「官民合同会議」が、厳しい基準に基づいて防犯性能が高いと認めた製品にのみ与えられます 。

厳しい防犯性能試験

CPマーク認定を受けるためには、ハンマーなどによる「打ち破り」、ドライバーによる「こじ破り」、バーナーによる「焼き破り」といった、実際の侵入手口を想定した試験に5分以上耐えることが求められます 。

この「5分」という時間は、前述の通り、侵入犯の約7割が犯行を諦める時間に相当します。

重要な注意点

CPマークは「製品」だけでなく「施工システム」全体で認証されます。つまり、「認定されたフィルム」を「規定の厚さのガラス」に「国家資格を持つ専門技術者(建築フィルム1級・2級施工技能士)」が正しく施工して、初めて認定されるのです 。

市販のフィルムの箱にCPマークが印刷されていることは絶対にありません。資格を持つ施工者が基準通りに施工した後、シリアルナンバー入りの公式ステッカーを窓に貼り付けます 。

Point 2: フィルムの「厚さ」が性能を左右する

フィルムの防犯性能は、その厚さに大きく依存します。厚さを表す単位は「μm(マイクロメートル、ミクロン)」で、1μmは0.001mmです。

プロの基準は350μm以上

本当の意味での防犯効果を期待するなら、フィルムの総厚は350μm(0.35mm)以上を目安にしてください 。これがCP認定を取得できるフィルムの基準厚となります。

「準防犯」フィルムに注意

市場には200μm程度の厚さのフィルムも存在し、「準防犯フィルム」などと呼ばれることがあります 。

飛散防止フィルムよりは強度がありますが、350μm以上の製品と比較すると耐貫通性能は劣り、CPマークの認定基準は満たしません。確実な防犯を求めるのであれば、350μm以上の製品を選ぶべきです。

Point 3: なぜ「窓全面貼り」が絶対条件なのか

安価なDIYキットの中には、鍵(クレセント錠)の周りだけに貼る小さなサイズのフィルムがあります。しかし、これは防犯上、致命的な欠陥となります。

侵入犯は、フィルムが貼られていない部分のガラスを小さく割り、そこから手を入れて鍵を開けてしまいます 。これでは、せっかくのフィルムが何の意味もなさなくなります。

このため、CPマークの認定基準でも部分的な貼り付けは認められておらず、ガラス全面への施工が絶対条件とされています 。防犯効果を最大限に引き出すには、窓ガラス全体をくまなくカバーすることが不可欠です。

Point 4: ご自宅のガラスとの相性を確認

全てのフィルムが、全てのガラスに貼れるわけではありません。ご自宅の窓ガラスの種類を確認し、それに適合したフィルムを選ぶことが非常に重要です。

網入りガラス

防火目的で使われることが多いガラスです。一部のフィルムを貼ると、日射による熱吸収率が変化し、ガラスが温度差で割れる「熱割れ」という現象を起こすリスクがあります。必ず「網入りガラス対応」と明記されたフィルムを選んでください 。

複層ガラス(ペアガラス)

 断熱性の高いガラスですが、同様に熱割れのリスクがあります。複層ガラスへの施工実績が豊富な、適合したフィルムを選ぶ必要があります 。

型板ガラス(凹凸のあるガラス)

表面がザラザラしているため、通常のフィルムではうまく密着せず、十分な強度が得られません。このタイプのガラスには、専用の特殊な粘着剤を使用した、凹凸ガラス専用の防犯フィルムが必要です 。

これらの選定基準からも分かる通り、防犯フィルム選びは専門的な知識を要します。

特にCPマークの取得を目指す場合は、専門家への相談が成功への近道と言えるでしょう。

DIY vs プロの施工|効果・費用・手間を徹底比較

「防犯フィルムは自分で貼れるのか、それともプロに頼むべきか」

これは多くの方が悩むポイントです。ここでは、それぞれのメリット・デメリットを、効果、費用、手間の観点から徹底的に比較します。

DIY(自分で貼る)の道

メリット

何と言っても、初期費用を抑えられる点が最大の魅力です 。

デメリットと警告
  1. 施工の難易度が非常に高い: 防犯フィルムは厚く硬いため、非常に扱いにくい素材です。ホコリ一つない環境で、専用の道具(スキージー、カッター等)を使いこなし、気泡や水分を完全に取り除く「水貼り」という技術は、プロでも神経を使います 。
  2. 失敗のリスクと無駄な出費: 初めての方が挑戦すると、気泡、ゴミの混入、シワ、フィルムの折れといった失敗が多発します。結果的にフィルムを無駄にし、かえって高くつくことも少なくありません 。
  3. 性能を100%発揮できない: 最も重要な点です。フィルムとガラスを圧着させる作業が不十分だと、本来の接着力が得られず、いざという時にフィルムが剥がれてしまい、防犯性能が著しく低下します 。
  4. 【決定的な弱点】CPマークは取得不可: 自分で施工した場合、たとえCP認定品のフィルムを使ったとしても、CPマークの認証は絶対に受けられません 。つまり、公的に認められた「5分間の抵抗性能」は保証されないのです。
メリットデメリット
初期費用を抑えられる施工の難易度が非常に高い
失敗のリスクと無駄な出費
性能を100%発揮できない
CPマークは取得不可

プロ(専門業者)に依頼する道

メリット
  1. 保証された防犯性能: 専門技術者が正しい知識と技術で施工するため、フィルムの性能を最大限に引き出し、確実な防犯効果が期待できます。
  2. CPマークの取得: 資格を持つプロによる施工であれば、CPマークの認定を受けることが可能です。窓に貼られたCPマークステッカーは、下見に来た泥棒に対する強力な視覚的抑止力にもなります 。
  3. 美しい仕上がりと効率: プロは専用の道具と豊富な経験で、気泡やゴミのない完璧な仕上がりを短時間で実現します。
  4. 長期的な安心感: 施工後の保証が付く場合も多く、「正しく施工されている」という安心感は何物にも代えがたい価値があります。
デメリット

DIYに比べて初期費用が高くなります。

メリットデメリット
保証された防犯性能
CPマークの取得
美しい仕上がりと効率
長期的な安心感
DIYに比べて初期費用が高

費用目安の比較

では、具体的に費用はどのくらい違うのでしょうか。

以下の表は、フィルムの種類ごとの1平方メートルあたりの費用目安をまとめたものです。

「価格」と「得られる安心のレベル」が比例していることがお分かりいただけるはずです。

フィルムの種類費用目安(材料費・施工費込み)主な特徴
DIY用 飛散防止フィルム2,000円~5,000円防災目的。防犯効果は低い。
DIY用 防犯フィルム(非CP認定)5,000円~10,000円厚みはあるが性能は保証外。施工難易度が高い。
プロ施工 貫通防止フィルム(準防犯・200μm程度)13,000円~18,000円一定の強度はあるが、CP認定は不可。
プロ施工 CP認定防犯フィルム(標準グレード)18,000円~26,000円CP認定。5分間の抵抗性能。最もバランスが良い選択肢。
プロ施工 CP認定防犯フィルム(高グレード)28,000円~30,000円以上CP認定。より高い耐貫通性能を持つ最上位モデル。

結論として、私の専門家としての見解は明確です。もし、あなたの目的が「警察が認める『5分の壁』を作り、本気で侵入犯罪を防ぐこと」であるならば、選択肢はプロによるCP認定フィルムの施工一択です。

費用はかかりますが、それは「本物の安心」を手に入れるための投資なのです。

他の防犯対策との比較|防犯フィルムの立ち位置

防犯対策は「層」で考えることが重要です。防犯フィルムは非常に優れた対策の一つですが、他の選択肢と比較することで、その独自の立ち位置と価値がより明確になります。

ここでは、主要な窓の防犯対策を多角的に比較してみましょう。

窓の防犯対策徹底比較

対策方法防犯性能費用見た目防災・他機能施工の手間緊急時の脱出
防犯フィルム◎ (飛散防止, UV)○ (プロ施工)○ (室内から破れる)
防犯ガラス×○ (飛散防止)× (サッシ交換)× (破りにくい)
面格子×△ (飛来物防止)△ (壁に穴あけ)× (脱出不可)
補助錠×◎ (簡単取付)
◎: 優れている、○: 良い、△: やや劣る、×: 劣る・問題あり

各対策との比較分析

vs. 防犯ガラス

防犯ガラスは、ガラスとガラスの間に特殊な膜を挟んだもので、フィルム同様に高い防犯性能を持ちます。しかし、導入にはサッシごと交換する大掛かりな工事が必要で、費用はフィルムの数倍に及びます 。

耐用年数は長いですが、手軽さやコストパフォーマンスではフィルムに軍配が上がります。また、フィルムは室内側に貼るため、万が一割れた際のガラス片の室内への飛散をより効果的に防ぎます 。

防犯スペシャリスト「守」

ちなみに私の家は新築の時から防犯ガラスを採用しています。
家を建てた後であれば、防犯フィルムも検討していたかもしれません。

vs. 面格子

面格子は物理的な障壁として視覚的な抑止力にはなります。しかし、「外観を損なう」「窓からの景色を遮る」「掃除がしにくい」といったデメリットがあります 。

そして、最も重大な欠点は「火災時の脱出経路を塞いでしまう」ことです 。防犯フィルムは、外からの衝撃には強い一方、室内からは比較的簡単に割って脱出できるため、安全性の面で大きなアドバンテージがあります 。

vs. 補助錠

窓用の補助錠は、低コストで導入できる優れた防犯グッズです。しかし、補助錠だけではガラスそのものが割られることを防げません。侵入犯がガラスを割り、そこから手や工具を入れて補助錠を破壊・解錠しようとする可能性は残ります。

最強の組み合わせ:防犯フィルム + 補助錠

これらの比較から見えてくるのは、防犯フィルムが「高い防犯性能」「美観の維持」「災害対策」「火災時の安全性」という要素を、非常に高いレベルで両立させているということです。

そして、最強の窓防犯を目指すのであれば、「CP認定防犯フィルム」と「補助錠」の組み合わせを私は強く推奨します 。

フィルムでガラス破りを困難にし、さらに補助錠で解錠にも時間をかけさせる。この二重の防御層が、侵入犯の心をくじく最も効果的な「5分の壁」となるのです。

よくある質問(Q&A)

ここでは、お客様から特によくいただく質問について、一つひとつ丁寧にお答えします。

防犯フィルムの寿命はどのくらいですか?交換のサインは?

一般的に、室内側に正しく施工された防犯フィルムの耐用年数は約10年とされています 。ただし、窓の方角や日当たりの強さなどの環境によって劣化の進度は変わります。

交換のサインとしては、フィルムの端が剥がれてきたり(浮き)、フィルム内に気泡ができたり、全体が白っぽく濁ってきたり(白濁)、変色が見られたりする場合です 。このような症状が見られたら、防犯性能が低下している可能性があるため、専門業者に点検を依頼しましょう。

フィルムを貼った窓の掃除方法は?

施工後、フィルムとガラスの間の水分が完全に乾燥するまで、最低1ヶ月程度は清掃を避けてください 。清掃が可能になった後は、柔らかい布(マイクロファイバークロスが最適)を水で濡らし、固く絞ってから優しく拭いてください。

汚れがひどい場合は、水に中性洗剤を数滴混ぜたものを使います。その際、洗剤が残らないよう、最後は水拭きで仕上げてください 。

絶対にやってはいけないことは、研磨剤入りのスポンジや硬いブラシ、アンモニア系やアルカリ性の強力なガラスクリーナーの使用です。これらはフィルム表面の傷防止コーティングを傷つけ、劣化の原因となります 。

賃貸物件でも貼れますか?退去時の原状回復は?

はい、賃貸物件でも施工は可能です。ただし、トラブルを避けるために必ず事前に大家さんや管理会社に許可を取る必要があります。その際、口約束ではなく、書面で承諾を得ておくことを強くお勧めします 。

退去時の「原状回復」については、事前に取り決めをしておくことが重要です。専門業者であれば、専用の道具と技術でフィルムをきれいに剥がすことが可能ですが、ご自身で剥がすのは非常に困難で、ガラスを傷つける恐れもあります 。

大家さんによっては、防犯性能が向上することをメリットと考え、剥がさなくても良いと言ってくれるケースもあります。

自治体の補助金は利用できますか?

はい、多くの自治体で住宅の防犯対策に対する補助金・助成金制度が設けられており、防犯フィルムの設置も対象となる場合があります 。

補助の対象となる条件や金額は自治体によって様々です。お住まいの市区町村のウェブサイトで「(お住まいの市町村名) 防犯対策 補助金」といったキーワードで検索するか、役所の担当窓口に問い合わせてみることをお勧めします。

費用負担を軽減できる貴重な制度ですので、ぜひ活用してください。

「お見舞い金制度」とは何ですか?

これは、一部の防犯ガラスや高性能な防犯フィルムのメーカーが、自社製品の性能に対する自信の表れとして設けている制度です 。

万が一、その製品が破られて侵入盗難被害に遭った場合に、メーカーから修理費用や盗難被害額に対して一定額のお見舞金が支払われるというものです。

この制度が付いている製品は、それだけメーカーが性能に絶対の自信を持っている証と考えることができます。製品選びの一つの判断材料になるでしょう。

結論:大切な家族と財産を守るための、最後の一押し

ここまで、防犯フィルムについて多角的に解説してきました。最後に、最も重要なポイントを改めてお伝えします。

  • 侵入犯の最大の標的は「窓」である。
  • 防犯の鍵は、侵入に5分以上かけさせて犯行を諦めさせる「5分の壁」を作ること。
  • その壁を作るには、薄い「飛散防止フィルム」ではなく、厚さ350μm以上の本物の「防犯フィルム」が必要不可欠。
  • 性能を客観的に証明する唯一の指標は「CPマーク」。
  • そして、CPマークの性能を100%引き出し、確実な安心を得るためには「プロによる施工」が絶対条件。

防犯の専門家として長年多くの現場を見てきた私が断言できるのは、「事が起きてから後悔する」のでは遅い、ということです。

犯罪の被害は、金品だけでなく、ご家族の心にも深い傷を残します。

プロが施工したCPマーク認定の防犯フィルムは、あなたの家の最も弱い部分を、最も強固な盾に変えることができます。それは単なる製品への投資ではありません。ご家族が毎日安心して過ごせる「平穏な日常」への投資です。

どうか、あなたとあなたの大切な方々の安全を、偶然に任せないでください。この情報が、あなたの家をより安全な場所にするための、確かな一歩となることを心から願っています。

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この記事を書いた人

セキュリティ関連企業に10年以上勤務し、現場スタッフから管理職まで幅広い経験を積んできた防犯のスペシャリスト。

現場対応から、商品選定やスタッフ教育、サービス設計まで、防犯の最前線と裏側の両方を知るプロフェッショナル。

「みんなの安全」を掲げながら、実際には自社製品への誘導に偏る情報に疑問を抱き、中立的で本当に生活者の役に立つ防犯情報を届けるべく、情報発信プラットフォーム【じぶん防犯】を立ち上げる。

「昨日の最適が今日も最適とは限らない」
「じぶんでできる楽しい防犯」

という信念のもと、最新の犯罪動向と技術に常にアンテナを張り、個人が自ら選び、守れる防犯知識と実践方法を日々発信している。

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