じぶん防犯

つきまとい・尾行の対処法|逃げ方・通報・証拠確保ガイド

「帰り道、ずっと同じ人が後ろを歩いている気がする」「最近、駅で同じ人を何度も見かける」——そんな恐怖を感じたことはありませんか?

警察庁の統計によると、ストーカー事案の相談件数は年間2万件以上で推移しており、被害者の約88%が女性、20代・30代が約6割を占めています(出典:セコム「ストーカー!?不安を感じたときとるべき行動」)。つきまといは「気のせい」で済ませてはいけない、身近で深刻なリスクです。

本記事では、防犯設備士の視点から「今この瞬間」の即時行動から、証拠の残し方、警察への相談方法、ストーカー規制法による法的保護までをワンストップで解説します。いざという時に慌てないための、実践的な対処ガイドです。

【今すぐ確認】つけられていると感じたら実行する5ステップ

「つけられているかも」と感じたら、以下の5ステップを順に実行してください。恐怖の中でも、この手順を覚えておくだけで冷静な行動につながります。

  1. 落ち着いて、さりげなく振り返る — 相手の存在を「見ている」と示すことが最初の牽制になる
  2. 明るく人のいる場所へ移動する — コンビニ・飲食店・交番など、すぐに助けを求められる場所へ
  3. 110番通報するか、店員に助けを求める — 「後をつけられています」と伝えるだけでOK
  4. 日時・場所・不審者の特徴をスマホに記録する — メモアプリに即座に入力、写真があればなお良い
  5. 絶対に自宅に直帰しない — 住所を知られるリスクを避け、家族や友人に迎えに来てもらう

最も重要なのは**ステップ2「安全な場所への退避」**です。夜道の防犯5原則でも解説していますが、犯罪者は「人のいない場所」で行動を起こします。人のいる場所に逃げ込むだけで、被害リスクは大幅に下がります。

尾行されているか確認する3つの方法

「気のせいかもしれない」と迷ったときは、以下の3つの方法でさりげなく確認しましょう。いずれも相手を刺激しないよう、自然な動作で行うことが大切です。

1. ペースを変えて反応を見る

歩く速度を急に変えてみてください。早歩きに切り替えたとき、後ろの人も同じようにペースを上げたら要注意です。逆に、立ち止まってスマホを見るふりをしたとき、相手も不自然に立ち止まるなら尾行の可能性があります。

2. 道を2回曲がって同じ人がいるか確認する

意図的に道を2回曲がってみてください。通常、偶然同じ方向を歩いている人が2回連続で同じ角を曲がることはほぼありません。2回曲がっても同じ人がいる場合は、尾行されている可能性が高いと判断してください。

3. ガラスやスマホのカメラで後方を確認する

ショーウィンドウやビルのガラスに映る後方の様子を確認するのが最も自然な方法です。スマホのインカメラを使い、通話しているふりをしながら後方を確認する方法もあります。防犯アプリのフェイク通話機能を使えば、より自然に確認できます。

絶対にやってはいけない5つのNG行動

つきまとい・尾行に遭った際、恐怖やパニックから逆効果の行動を取ってしまうケースがあります。以下の5つは二次被害につながる危険な行動です。

1. 自宅に直帰する

最もやってはいけない行動です。自宅に帰ると住所を特定され、その後の待ち伏せやストーキングのリスクが飛躍的に高まります。必ずコンビニや交番など安全な場所に立ち寄り、家族に迎えに来てもらうか、タクシーを利用してください。

2. 犯人を追いかける・問い詰める

相手が危険な人物である可能性があり、逆上されるリスクがあります。対峙するのではなく、距離を取って安全を確保することを最優先にしてください。

3. その場でSNSに投稿する

「今つけられてる」などとリアルタイムでSNSに投稿すると、現在地や行動パターンが不特定多数に知られてしまいます。投稿は安全を確保した後にしましょう。SNSの個人情報流出を防ぐ方法も合わせて確認してください。

4. イヤホンで音楽を聴き続ける

恐怖を紛らわせるためにイヤホンをつけたくなるかもしれませんが、周囲の音が聞こえなくなり、相手の接近に気づけなくなります。イヤホンは外して、足音や周囲の気配に注意を向けてください。

5. 「気のせい」と判断して何もしない

「考えすぎかもしれない」と自分を納得させてしまうのは危険です。これは心理学でいう「正常性バイアス」——自分は大丈夫だと思い込む心理です。「怖い」と感じた直感を信じ、少しでも不安があれば行動に移してください。

つきまといの証拠を残す方法

警察に相談する際、証拠があるかないかで対応のスピードが大きく変わります。日頃からの記録習慣が、いざという時にあなたを守ります。

スマホで記録する4つの方法

記録方法記録する内容ポイント
カメラ(写真・動画)不審者の外見・服装・車のナンバー無理に近づかず、離れた場所から撮影
メモアプリ日時・場所・状況・相手の特徴恐怖で忘れる前に、箇条書きで即座に記録
ボイスメモ周囲の音声・脅迫的な言動ポケットの中で録音開始するだけでOK
位置情報のスクリーンショット被害が発生した正確な場所Googleマップのスクリーンショットが簡便

被害記録ノートのつけ方

つきまといが1回で終わらない場合は、被害記録ノートをつけましょう。以下の項目を毎回記録することで、警察への相談時に「継続的な被害」を立証しやすくなります。

  • 日時(年月日・時間帯)
  • 場所(住所や最寄り駅からの位置関係)
  • 状況(何をされたか、どのくらいの時間か)
  • 相手の特徴(性別・年齢・身長・服装・持ち物)
  • 目撃者の有無(店員・通行人など)
  • 自分の行動(どう対処したか)
  • 心身への影響(恐怖・不眠・体調不良など)

防犯カメラ映像の保存依頼方法

つきまとい行為があった場所の近くに防犯カメラがあれば、映像が重要な証拠になります。ただし、防犯カメラの映像は一般的に1〜2週間で上書きされるため、早めの対応が必要です。

映像の保存依頼は、警察を通じて行うのが確実です。被害届を出すか、#9110で相談した際に「付近の防犯カメラ映像を確認してほしい」と伝えてください。

クラウド保存でデータを消されても安心

スマホで記録した証拠は、iCloudやGoogleフォトなどのクラウドサービスに自動バックアップしておきましょう。万が一スマホを奪われたり壊されたりしても、クラウド上のデータは残ります。

防犯アプリの位置共有機能を使って家族と居場所を共有しておくことも、証拠確保と安全確保の両面で有効です。

警察への相談方法と対応の流れ

「つきまとい被害で警察は動いてくれるの?」と不安に思う方も多いですが、警察はストーカー事案に積極的に対応しています。適切な準備をすることで、よりスムーズに対応してもらえます。

まず「#9110」で相談する

緊急時は迷わず110番に通報してください。緊急でない場合は、警察相談専用ダイヤル#9110に電話しましょう。

窓口電話番号対応
緊急通報110今まさに危険が迫っている場合
警察相談専用ダイヤル#9110犯罪に至っていない段階でも相談可能
犯罪被害者支援センター各都道府県に設置カウンセリング・法的支援の紹介
DV相談ナビ#8008配偶者・交際相手からの被害

#9110は「まだ犯罪とは言えないけど不安」という段階でも相談できます。「大したことじゃないかも」と遠慮する必要はありません。

警察署の生活安全課に行くときの準備

直接警察署に相談に行く場合は、生活安全課(ストーカー・DV対策担当)を訪ねてください。以下を準備しておくとスムーズです。

  • 被害記録ノート(日時・場所・状況の一覧)
  • 証拠写真・動画・音声データ
  • 不審者からの手紙・メール・SNSメッセージのスクリーンショット
  • 時系列の経緯メモ(いつから始まったか)

警察に動いてもらうための3つのポイント

「証拠」「具体性」「継続性」の3つを意識して伝えましょう。

  1. 証拠を持参する — 写真・動画・被害記録ノートなど具体的な証拠があると対応が早い
  2. 被害を具体的に伝える — 「なんとなく怖い」ではなく「○月○日○時頃、○○駅から自宅方向に歩いている間、約10分間同じ男性がついてきた」と具体的に
  3. 継続性を示す — 1回だけでなく、複数回の被害がある場合はその全てを時系列で伝える

警察の対応段階:相談→警告→禁止命令→検挙

警察の対応は被害の深刻度に応じて段階的に進みます。

段階内容条件
相談・助言防犯指導、パトロール強化つきまとい等の申出
警告加害者に「やめなさい」と警察から警告被害者の申出 + つきまとい等の事実確認
禁止命令公安委員会がつきまとい等を禁止する命令警告に従わない場合、または緊急の場合
検挙逮捕・送検ストーカー行為の立証、または禁止命令違反

最初の相談段階でも、警察はパトロール強化や防犯指導を行ってくれます。「まだ警告を出すほどではない」と判断された場合でも、相談記録が残ることが今後の対応に活きてきます。

ストーカー規制法で受けられる保護

つきまとい行為が反復・エスカレートした場合、ストーカー規制法による法的保護を受けられます。

「つきまとい等」の法的定義

ストーカー規制法(警視庁)では、「つきまとい等」を以下の類型で定義しています。

類型具体的な行為
つきまとい・待ち伏せ後をつける、自宅や職場で待ち伏せする、進路に立ちふさがる
監視の告知「今日○○にいたね」など行動を監視していることを伝える
面会・交際の要求拒否しているのに面会や交際を繰り返し求める
乱暴な言動大声で怒鳴る、車のクラクションを鳴らすなど粗暴な行為
無言電話・連続通信拒否しているのに電話・メール・SNSを繰り返す
汚物等の送付不快な物品を自宅や職場に送りつける
名誉毀損中傷する内容を告げる、ネットに書き込む
性的羞恥心の侵害わいせつな写真を送る、性的な内容を告げる
GPS等の無承諾使用承諾なくGPS機器を取り付ける、位置情報を取得する

反復するつきまとい → ストーカー行為として規制

上記の「つきまとい等」を同一人物が繰り返し行い、被害者に身体の安全や生活の平穏が害される不安を与えた場合に「ストーカー行為」として規制対象になります。つまり、1回限りの行為は「つきまとい等」、反復すると「ストーカー行為」に該当します。

禁止命令と罰則

行為罰則
ストーカー行為1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金
禁止命令に違反してストーカー行為2年以下の拘禁刑又は200万円以下の罰金
禁止命令に違反(つきまとい等)6ヶ月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金

被害者支援制度

ストーカー被害者が利用できる主な支援制度があります。

  • 住民基本台帳の閲覧制限 — 加害者に住所を知られないよう、住民票の閲覧を制限できる
  • 一時保護(シェルター) — 婦人相談所で一時的に身を隠せる
  • 転居費用の補助 — 自治体によってはストーカー被害者向けの引っ越し費用補助制度がある
  • 被害者支援センター — カウンセリングや法的支援の紹介を受けられる

まずは警察やお住まいの自治体の窓口に「どんな支援が受けられるか」を確認してみてください。

場所別の対処法

つきまといは発生する場所によって対処法が異なります。よくあるシーン別に、具体的な行動を解説します。

駅から自宅までの帰り道でつけられたら

帰り道のつきまといは最も多いパターンです。以下の順序で行動してください。

  1. 自宅方向に歩かない — 自宅と反対方向に進むか、駅に引き返す
  2. コンビニか飲食店に入る — 店員に「後をつけられています」と伝える
  3. 110番通報または家族に連絡 — 迎えに来てもらうか、パトカーの到着を待つ
  4. タクシーで帰宅する — 自宅近くではなく、少し離れた場所で降車する

防犯ブザーを鳴らすことで相手を牽制し、周囲に異常を知らせることも有効です。

職場・バイト先でのつきまとい対策

職場やバイト先への待ち伏せは、加害者が特定の関係者(元交際相手・客・同僚)であるケースが多くなります。

  • 上司・店長に報告する — 職場への出入り制限や、シフト変更などの対応を相談
  • 退勤時間をずらす — 行動パターンを読まれないよう、退勤時間や経路を変える
  • 同僚に付き添いを頼む — 一人で退勤しない
  • 職場の防犯カメラ映像を確認 — 待ち伏せの証拠として保存を依頼

駐車場・駐輪場で待ち伏せされたら

駐車場や駐輪場は人目が少なく、つきまとい被害が発生しやすい場所です。

  • 車や自転車に近づかず、来た道を引き返す
  • 管理室やスタッフに助けを求める
  • 車に乗る際はすぐにドアをロックする
  • 不審な人影や車がないか、乗車前に周囲を確認する習慣をつける

コンビニ・スーパーでの「駆け込み方」

つきまといから逃げる際、最も身近な駆け込み先がコンビニやスーパーです。入店したら以下のように行動しましょう。

  • レジにいる店員に直接声をかける(「後をつけられています、助けてください」)
  • 店の奥に移動する(入口から離れることで相手が入ってきにくくなる)
  • 店員に110番通報を依頼する(自分で電話する余裕がない場合)
  • 相手が店内に入ってきた場合は、バックヤードに入れてもらえないか頼む

コンビニ以外にも、交番・こども110番の家・消防署・病院・ガソリンスタンドなど、24時間対応の施設を帰り道のルート上で事前に確認しておくと安心です。

よくある質問(FAQ)

Q1. つきまといとストーカー行為の違いは何ですか?

「つきまとい等」とは、特定の人に対する待ち伏せ・監視・面会要求など8類型の行為を指します。これらを同一人物が繰り返し行い、被害者に不安を与えた場合に「ストーカー行為」となります。つまり、つきまとい等が反復・継続するとストーカー行為としてストーカー規制法の規制対象になります。

Q2. 尾行されていることを確認する方法はありますか?

3つの方法があります。①歩くペースを急に変えて相手の反応を見る、②道を2回曲がって同じ人がいるか確認する、③ショーウィンドウのガラスやスマホのインカメラでさりげなく後方を確認する。いずれも相手を刺激しないよう、自然な動作で行ってください。

Q3. つきまとい被害で警察は動いてくれますか?

警察は動いてくれます。ストーカー事案の相談件数は年間2万件以上あり、警察は日常的に対応しています。スムーズに動いてもらうには、日時・場所・相手の特徴を記録した証拠を持参し、被害の具体性と継続性を伝えることが大切です。

Q4. ストーカー規制法の「警告」とは何ですか?

被害者の申出に基づき、警察本部長等が加害者に対して「その行為をやめなさい」と命じる措置です。警告に従わない場合は禁止命令に進み、違反すると2年以下の拘禁刑又は200万円以下の罰金が科されます。

Q5. つきまといの証拠はスマホでどうやって残しますか?

4つの方法があります。①カメラで不審者の外見や車のナンバーを撮影、②メモアプリに日時・場所・状況を即座に記録、③ボイスメモで周囲の音声を録音、④位置情報のスクリーンショットを保存。クラウドに自動バックアップしておけば、スマホを紛失しても安心です。

Q6. 知らない人につきまとわれた場合はどうすればいいですか?

まずコンビニや飲食店など人のいる場所に入り、店員に助けを求めるか110番通報してください。面識がなくても、つきまといが反復すればストーカー規制法の対象になります。一度でも怖いと感じたら、警察相談ダイヤル#9110で相談できます。

Q7. ストーカー被害で引っ越し費用の補助はありますか?

自治体によっては転居費用補助制度があります。また、婦人相談所での一時保護(シェルター)、住民基本台帳の閲覧制限(住所の非公開措置)なども利用可能です。まずは警察やお住まいの自治体の相談窓口に確認してみてください。

Q8. つきまといが怖くて外出できません。どこに相談すればいいですか?

警察相談専用ダイヤル**#9110**、またはお住まいの地域の犯罪被害者支援センターに相談してください。女性の場合はDV相談ナビ**#8008**も利用できます。電話が難しい場合は警察庁のオンライン相談フォームもあります。一人で抱え込まず、専門機関を頼りましょう。

まとめ:一人で抱え込まない──今日からできるつきまとい対策

つきまとい・尾行は、早期の対処と記録が被害の拡大を防ぐ鍵です。

  • つけられていると感じたら5ステップを実行(振り返る→安全な場所へ→通報→記録→直帰しない)
  • 尾行確認は3つの方法で冷静に(ペース変更・道を2回曲がる・ガラスで後方確認)
  • 自宅に直帰しない・犯人に近づかないなど5つのNG行動を避ける
  • スマホで証拠を4つの方法で記録し、クラウドにバックアップする
  • 警察には**#9110**で相談でき、証拠と具体性をもって伝えれば対応してもらえる
  • つきまとい等が反復すればストーカー規制法の保護対象になる
  • 転居費用補助・シェルター・住民票閲覧制限など被害者支援制度も活用できる

「怖い」と感じたその直感は正しい判断です。「気のせいかもしれない」「大げさかもしれない」と自分を否定する必要はありません。少しでも不安を感じたら、今日から証拠の記録を始め、#9110に相談してください。

夜道の防犯対策ガイドでは、つきまとい以外にも夜道を安全に歩くための総合的な対策を解説しています。帰り道の安全ルート作りで安全な帰宅経路を確保し、護身術の基本テクニックで万が一の脱出方法も覚えておきましょう。防犯ブザーの選び方防犯アプリの活用法も合わせて、あなたの安全を守る準備を整えましょう。「じぶん防犯」トップページでは、暮らし全般の防犯知識を紹介しています。

この記事を書いた人
防犯設備士(公益社団法人 日本防犯設備協会認定)

防犯設備士として10年以上のセキュリティ業界経験を持つ。住宅・店舗・施設の防犯カメラ設置や防犯診断の現場経験をもとに、専門知識を一般の方にもわかりやすく発信している。

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