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【防犯のプロが解説】お金をかけない防犯対策15選|空き巣が嫌がる家の作り方

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はじめに:お金をかけずに、今日から始める「じぶん防犯」

防犯スペシャリスト「守(まもる)」

はじめまして。「じぶん防犯」代表で、防犯スペシャリストの守(まもる)と申します。私はこれまで10年以上にわたり、セキュリティ関連企業で家庭用から業務用まで、数多くの防犯対策に従事してきました。

「防犯対策にはお金がかかる」「専門的な設備がないと安心できない」…

多くの方がそうお考えかもしれません。しかし、それは大きな誤解です。

長年の経験から断言できるのは、最も効果的な防犯対策は、高価な機材ではなく、泥棒の心理を理解し、日々のちょっとした習慣を積み重ねることだということです。

この記事の目的は、お金を一切かけずに、今日からすぐに実践できる「じぶん防犯」の具体的な方法を、専門家の視点から分かりやすくお伝えすることです。

大切なのは、侵入者を「撃退する」ことよりも、そもそも「この家は狙うのをやめよう」とターゲットから外させること。そのための知識と技術を、余すところなくご紹介します。

残念ながら、警察庁の統計によると、長年減少傾向にあった住宅への侵入窃盗(空き巣など)の認知件数は、近年再び増加に転じています 。

令和5年には、全国で1日あたり約48件もの住宅が被害に遭っている計算になります 。これは決して他人事ではありません。

侵入窃盗の認知件数は、平成15年から減少に転じて、令和5年は一時的に増加したものの、令和6年は4万3,036件で前年比-2.7%と減少しています。

出典:警察庁 住まいる110番 侵入窃盗データ

しかし、過度に恐れる必要はありません。正しい知識を身につけ、対策を一つひとつ実践すれば、あなたの家は格段に安全になります。

この記事を読み終える頃には、あなたも「じぶん防犯」の第一歩を踏み出せているはずです。

空き巣の心理を知る〜泥棒が「嫌がる家」の4大原則〜

効果的な対策を立てるには、まず敵を知ることから始めなければなりません。

空き巣や泥棒は、一体どんな家を狙い、どんな家を避けるのでしょうか。彼らが本能的に嫌がるもの、それは突き詰めると次の4つの要素に集約されます。

  1. :自分の姿を照らし出されることを極端に嫌います。スポットライトや明るい街灯は、犯行をためらわせる大きな要因です 。
  2. :物音は自分の存在を知らせてしまいます。犬の鳴き声、防犯砂利の音、警報ブザーの音など、予期せぬ音は大きな脅威です 。
  3. 時間:侵入に5分以上かかると、大半の泥棒は諦めると言われています。鍵が二つあったり、窓が割れにくかったりするなど、侵入に手間がかかる家は敬遠されます 。
  4. 人の目:誰かに見られること、顔を覚えられることは最大のリスクです。ご近所の目、通行人の視線、そして「防犯カメラ」の存在は、強力な抑止力となります 。

これからご紹介する全ての防犯対策は、この「光・音・時間・人の目」のいずれか、あるいは複数を活用して、泥棒にとって

「リスクが高く、面倒な家」

を作り上げるためのものです。

データで見る、住宅侵入のリアルな手口

ここで、警察庁が公表しているデータを見てみましょう。多くの人が「ピッキングのような特殊技術で侵入される」と思いがちですが、現実は大きく異なります。

順位侵入手口割合概要
1位無締り(むじまり)47.6%鍵のかかっていない玄関や窓からの侵入
2位ガラス破り35.4%窓ガラスを割って手を入れて鍵を開ける手口
3位ドア破り2.6%ピッキングやサムターン回しなど、施錠された鍵を開ける手口
出典:警察庁 住まいる防犯110番 侵入窃盗の侵入手口(令和6年)

この表が示す衝撃的な事実は、住宅侵入の約半数が、鍵のかけ忘れという単純な油断から発生しているということです 。

泥棒は超能力者でもなければ、ハイテク技術を駆使する怪盗でもありません。彼らの多くは、私たちのほんの少しの隙を探している「機会うかがい犯」なのです。

この事実を理解することが、防犯の第一歩です。高価なシステムを導入する前に、まず「無締り」という最大の弱点をなくすこと。それだけで、あなたの家が狙われるリスクは半分近くまで減らせるのです。

また、泥棒は「完璧に侵入不可能な家」を探しているわけではありません。

彼らが探しているのは「近隣の家よりも侵入しやすそうな家」です。

つまり、防犯とは、隣の家よりも少しだけ面倒で、少しだけリスクが高そうに見せる「相対的な安全性の競争」とも言えます。

これからお伝えする小さな工夫の積み重ねが、この競争であなたの家を圧倒的に有利な立場へと導きます。

コストゼロの防犯術①:毎日の「習慣」が最強の盾になる

ここでは、最も重要かつ効果的な、コストゼロの防犯対策をご紹介します。それは、日々の「習慣」を見直すことです。

一つひとつは些細なことでも、これらが組み合わさることで、泥棒が敬遠する強固なバリアとなります。

「ちょっとだけ」が命取り。施錠の徹底がすべての基本

このデータで見た通り、侵入窃盗の最大の原因は「無締り」、つまり鍵のかけ忘れです 。

ゴミ出しや回覧板を回すほんの数分、近所のコンビニへの短い買い物。

この

「ちょっとだけだから」

という油断が、泥棒に絶好の機会を与えてしまいます。

  • 外出時の施錠:玄関はもちろん、浴室やトイレの小窓、2階のベランダの窓まで、家を離れる際は時間や距離にかかわらず、すべての鍵をかけることを徹底してください 。
  • 在宅時の施錠:意外と見落としがちなのが、在宅中の施錠です。家族がリビングでテレビを見ている隙に、誰もいない部屋の窓から侵入する「居空き(いあき)」という手口も後を絶ちません 。在宅中であっても、使っていない部屋や目の届かない場所の窓は必ず施錠する習慣をつけましょう 。

施錠という基本行動は、泥棒に「時間」をかけさせる最も簡単な方法です。この一手間を惜しまないことが、すべての防犯の土台となります。

「留守です」と宣伝しない。ポスト・SNS・洗濯物の管理術

泥棒は、住人が留守の家を狙う「空き巣」が手口の多くを占めます 。

そのため、彼らは常に「留守のサイン」を探しています。無意識のうちに「この家は留守ですよ」と宣伝してしまわないよう、以下の点に注意しましょう。

  • 郵便物の管理:郵便受けに新聞やチラシが溜まっているのは、「長期間留守にしています」と公言しているようなものです 。毎日必ずポストの中身を空にしましょう。数日以上家を空ける場合は、郵便局の「不在届」サービスを利用して配達を一時的に止めてもらうのが賢明です 。
  • 洗濯物の管理:洗濯物を夜通し干しっぱなしにしたり、何日も同じものが干してあったりするのも留守のサインになります 。また、一人暮らしの女性の場合、女性ものの下着や衣類だけを干していると、格好のターゲットになりかねません 。対策として、洗濯物は室内干しにする、外に干す場合は男性用の衣類を一緒に干す、外側から見えにくいようにタオルなどで隠すといった工夫が有効です 。
  • SNSとの付き合い方:「これから海外旅行!」といったリアルタイムの投稿や、購入したばかりの高価な品物の写真を自宅が特定できるような形でアップするのは非常に危険です。あなたの投稿を、犯罪者がチェックしていないとは限りません 。楽しい思い出の共有は、帰宅後など、時間をずらして行うようにしましょう。

泥棒の「隠れ場所」と「足場」をなくす。家の周りの整理整頓

家の周りの環境は、泥棒に「侵入のしやすさ」を判断させる重要な要素です。

庭や敷地内を整頓することで、「人の目」が届きやすく、侵入に「時間」がかかる家に見せることができます。

  • 庭木の手入れ:玄関や窓の周りの植木が高く生い茂っていると、泥棒が身を隠す絶好の「隠れ場所」になってしまいます 。定期的に剪定し、道路から家の窓やドアが見えるように、見通しを良くしておきましょう。これは「人の目」を最大限に活用する基本です。
  • 足場の撤去:2階への侵入で意外と多いのが、物置やエアコンの室外機、ゴミ箱、脚立などを「足場」にするケースです 。2階の窓の下やベランダの近くには、足がかりになるようなものを絶対に置かないようにしましょう。
  • 見通しの良い外構:最近では、高い塀で家を囲む「クローズ外構」よりも、あえて低いフェンスなどで開放的にする「オープン外構」が防犯上有利とされています 。外からの見通しが良いと、泥棒が隠れる場所がなくなり、犯行をためらわせる効果があるからです。

これらの習慣は、単なる片付けや掃除ではありません。

一つひとつが

「この家の住人は注意深く、防犯意識が高い」

という無言のメッセージを発し、泥棒を遠ざけるための積極的な防犯活動なのです。

ご近所の「目」が最強の監視カメラ。地域とのつながり

どんなに高性能な防犯カメラも、ご近所の方々の「目」にはかないません。

地域社会との良好な関係は、お金のかからない最も強力なセキュリティシステムの一つです。

  • 挨拶の習慣:日頃からご近所の方と挨拶を交わし、顔見知りになっておきましょう 。そうすることで、見慣れない人物がうろついていれば「あの人は誰だろう?」と自然に注意が向きます。泥棒は、住民同士のつながりが強く、声をかけられる可能性のある地域を嫌います 。
  • 情報交換:「最近、このあたりで不審な車を見る」といった何気ない情報交換が、犯罪を未然に防ぐことにつながります。地域の自治会や防犯パトロールに参加するのも非常に有効です 。

孤立した家は、泥棒にとって好都合なターゲットです。日々のコミュニケーションを通じて、地域全体で「見守りの目」を増やすことが、結果的に自分の家を守ることにつながるのです。

コストゼロの防犯術②:「在宅偽装」で侵入を諦めさせる

空き巣は、住人がいないことを確認してから侵入します。

そこで有効になるのが、たとえ留守中であっても「誰かが家にいる」ように見せかける「在宅偽装」のテクニックです。

これにより、泥棒の確信を揺るがし、犯行を断念させることができます。

光と音のタイマー活用術:不在時も「生活感」を演出する

人の気配、すなわち「生活感」を演出する上で最も効果的なのが「光」と「音」です。

  • 光の演出:夜間に家が真っ暗だと、留守であることが一目瞭然です。かといって、一つの照明をずっとつけっぱなしにしておくのも、かえって不自然で留守のサインになり得ます 。

    安価なコンセントタイマーを使い、夕方から夜にかけてリビングや寝室の照明が自動で点灯・消灯するように設定するのが効果的です。複数の部屋で時間をずらして設定すれば、よりリアルな生活感を演出できます 。
  • 音の演出:視覚だけでなく、聴覚に訴えるのも有効です。タイマーでラジオやテレビがつくように設定しておけば、外に漏れる話し声や音楽が「誰かが在宅している」と思わせる強力な証拠になります 。特に人の声がするラジオは、生活音として非常に自然で、高い抑止効果が期待できます。

これらの工夫は、泥棒に「もしかしたら誰かいるかもしれない」という疑念を抱かせ、リスクを冒してまで侵入する意欲を削ぐための心理戦なのです。

一人暮らしの防犯:暮らしのヒントを隠すテクニック

一人暮らしの方、特に女性は、犯罪者に「一人で住んでいる」と悟られないことが非常に重要です。

生活のヒントを隠し、複数人で暮らしているように見せかける工夫をしましょう。

  • カーテンの選び方:外から室内の様子をうかがわせないよう、カーテンは厚手で光を通しにくい遮光性の高いものを選びましょう 。キャラクターものや可愛らしい柄は避け、性別が特定しにくい無地やシンプルなデザインのものが無難です 。夜間に照明をつけても、人影が外に映らないものが理想的です。
  • 洗濯物の工夫:第2章でも触れましたが、洗濯物は一人暮らしの情報を与える最大のヒントです。できるだけ室内干しを心がけ、もし外に干す場合は男性用の衣類を混ぜるなどの工夫を徹底しましょう 。
  • 表札・郵便受け:表札にフルネームを書くのは避け、苗字のみにするか、思い切って出さないという選択も有効です 。
  • 帰宅時の習慣:家に入る際に、独り言のように「ただいま」と言う習慣をつけてみましょう 。もし外で誰かが聞き耳を立てていた場合、「家の中に誰かいる」と誤認させることができます。ほんの小さな習慣ですが、潜在的な危険を遠ざける効果が期待できます。

これらの対策は、在宅時・不在時を問わず、犯罪者に「狙いやすいターゲットではない」と思わせるための重要な防御策です。

【番外編】少額投資で効果絶大!5,000円以下で揃える防犯グッズ

この記事では「お金をかけない」対策を主眼においていますが、ほんの少しの投資で防犯効果を飛躍的に高められるグッズも存在します。

ここでは、5,000円以下の予算で揃えられる、コストパフォーマンスに優れた防犯グッズを厳選してご紹介します。

視覚で威嚇する:防犯ステッカーとダミーカメラ

これらは「人の目」の原則を利用した、最も手軽な心理的 (抑止力)です。

防犯ステッカー

「防犯カメラ作動中」「セキュリティシステム稼働中」といったステッカーを玄関や窓の目立つ場所に貼るだけで、

「この家は防犯意識が高い」

とアピールでき、侵入をためらわせる効果があります 。

ダミーカメラ

本物そっくりのダミー防犯カメラも、泥棒への威嚇効果が期待できます。本物のカメラは高価ですが、ダミーであれば数百円から手に入ります。100円ショップで販売されていることもあります 。

これらのグッズは、実際に監視機能がなくても、「監視されているかもしれない」というプレッシャーを泥棒に与えることで、犯行を未然に防ぐことを狙いとしています。

窓の弱点を補う:補助錠と防犯フィルム

侵入手口第2位の「ガラス破り」 には、窓の物理的な強度を高める対策が有効です。

補助錠(サブロック)

窓のクレセント錠(半月型の鍵)だけでは心許ないため、サッシの上下に取り付ける補助錠を追加しましょう。これにより「ワンドア・ツーロック」の状態になり、侵入に「時間」がかかることを視覚的にアピールできます 。工事不要で取り付けられるタイプなら、賃貸住宅でも安心です。

防犯フィルム

窓ガラスに貼ることで、ガラスの強度を高めるフィルムです。叩き割ろうとしても簡単には穴が開かず、侵入に時間がかかるため、泥棒が犯行を諦める可能性が高まります 。災害時のガラス飛散防止にも役立ち、一石二鳥です。

玄関ドアを固める:サムターンカバーとドアチェーン

玄関ドアからの侵入を防ぐ、地味ながら効果的なグッズです。

サムターンカバー

ドアスコープ(覗き穴)や郵便受けの隙間から工具を入れ、内側の鍵のつまみ(サムターン)を回して侵入する「サムターン回し」という手口を防ぎます。サムターンに被せるだけの簡単な設置で、この手口を無効化できます 。

ドアチェーン(ドアガード)

在宅時に訪問者と対応する際に非常に重要です。いきなりドアを開けるのではなく、必ずチェーンをかけたまま対応することで、万が一相手が押し入ろうとしても物理的に防ぐことができます 。身の安全を確保するための最後の砦です。

光と音で撃退する:センサーライトと防犯砂利

泥棒が嫌がる「光」と「音」を、最も効果的に活用できるグッズです。

センサーライト

人の動きを感知して自動で点灯するライトです。玄関や勝手口、庭の死角など、暗くて隠れやすい場所に設置すると絶大な効果を発揮します 。突然の光で姿を照らされることを泥棒は極端に嫌い、驚いて逃げ出すケースも少なくありません。ソーラー発電式や乾電池式なら配線工事も不要です。

防犯砂利

踏むと「ジャリジャリ」と大きな音が出るように作られた砂利です。家の周りや通路に敷き詰めておけば、誰かが侵入しようとした際に音で気づくことができます 。静かに忍び寄ることを不可能にする、シンプルかつ効果的な方法です。

これらの少額グッズは、警察の統計データが示す「現実の脅威」に直接対抗するために考え抜かれたものです。

やみくもに物を買うのではなく、このように弱点を的確に補強することが、賢い投資と言えるでしょう。

おわりに:防犯は「足し算」。小さな対策を積み重ねて、安心な毎日を

ここまで、お金をかけずにできる防犯対策から、少額で効果を高めるグッズまで、様々な方法をご紹介してきました。

最後に、最もお伝えしたい大切な心構えがあります。それは、防犯とは「足し算」であるということです。

たった一つの完璧な対策というものは存在しません。そうではなく、今日からできる小さな対策を、一つ、また一つと「足し算」で積み重ねていくことが重要なのです。

「毎朝、郵便受けをチェックする」という習慣が、まず一つの層になります。 「2階の窓の鍵を必ずかける」という意識が、もう一つの層を加えます。 「ご近所さんと挨拶を交わす」という関係性が、さらに厚い層を作ります。

そこに、防犯ステッカーや補助錠といった物理的な対策が加わることで、あなたの家の防犯レベルは、何層にも重なった強固なものになっていきます。

この「層」が厚ければ厚いほど、泥棒は

「面倒だ」「リスクが高い」

と感じ、あなたの家を諦めて次のターゲットを探しに行くのです。

完璧を目指す必要はありません。

まずはこの記事の中から

「これならできそう」

と思うものを一つか二つ、今日から始めてみてください。

その小さな一歩が、あなたとあなたの大切な家族の安全を守る、大きな力になります。

あなたの家を守るのは、高価なシステムだけではありません。日々の小さな意識と工夫こそが、最強の防犯になるのです。

皆さんの暮らしが、より安全で安心なものになることを、専門家として心から願っています。

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この記事を書いた人

セキュリティ関連企業に10年以上勤務し、現場スタッフから管理職まで幅広い経験を積んできた防犯のスペシャリスト。

現場対応から、商品選定やスタッフ教育、サービス設計まで、防犯の最前線と裏側の両方を知るプロフェッショナル。

「みんなの安全」を掲げながら、実際には自社製品への誘導に偏る情報に疑問を抱き、中立的で本当に生活者の役に立つ防犯情報を届けるべく、情報発信プラットフォーム【じぶん防犯】を立ち上げる。

「昨日の最適が今日も最適とは限らない」
「じぶんでできる楽しい防犯」

という信念のもと、最新の犯罪動向と技術に常にアンテナを張り、個人が自ら選び、守れる防犯知識と実践方法を日々発信している。

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