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ワンドアツーロックで防犯対策を!専門家が効果や費用、選び方を徹底解説

はじめまして。「じぶん防犯」代表の守(まもる)と申します。 

私はこれまで10年以上にわたり、セキュリティ関連企業で家庭用から業務用まで、数多くの防犯対策に従事してきました。

その経験から痛感しているのは、

「我が家は大丈夫」

という思い込みが、最も危険だということです。

空き巣や不審者といった脅威は、残念ながら私たちのすぐそばに存在します 。

多くの方が漠然とした不安を抱えながらも、

「何から手をつければ良いかわからない」

と感じているのではないでしょうか。

もし、あなたがご自宅の防犯対策で、まず何よりも先に、そして最も効果的な一歩を踏み出したいとお考えなら、その答えは非常にシンプルです。

それが、今回ご紹介する「ワンドアツーロック」です。

これは、警察庁や国土交通省も公式に推奨している、防犯の基本中の基本であり、最も重要な考え方です 。

この記事では、防犯の専門家である私が、ワンドアツーロックの全てを、誰にでもわかるように、そして具体的にお伝えします。

この記事を読み終える頃には、あなたはご自宅の安全を確かなものにするための、明確な知識と自信を手にしているはずです。

目次

ワンドアツーロックの基本と絶大な防犯効果

まず、ワンドアツーロックがなぜこれほどまでに重要視されるのか、その基本的な考え方と、科学的根拠に基づいた防犯効果について解説します。

「ワンドアツーロック」とは?

「ワンドアツーロック」とは、その名の通り「1つのドアに2つの鍵(錠前)を取り付ける」という防犯対策のことです 。

しばしば「ダブルロック」や「二重ロック」とも呼ばれますが、これらはすべて同じ意味で使われています 。

近年の新築住宅では標準装備となりつつありますが、少し前の建物や集合住宅では、まだドアに鍵が1つしかない「ワンロック」の状態も珍しくありません。

このワンロックの状態を、補助的な鍵(補助錠)を追加することでツーロックの状態にし、ドアの防犯性能を飛躍的に高めることが、ワンドアツーロックの目的です。

侵入を諦めさせる「5分の壁」

ワンドアツーロックの最大の効果は、侵入犯の心理に直接働きかける点にあります。

警察庁の調査データによると、空き巣などの侵入犯は、侵入に5分以上かかると約7割が犯行を諦め、10分以上かかると9割以上が諦めるという結果が出ています 。

これを、私たち専門家の間では「5分の壁」と呼んでいます。

侵入に手間取り、5分かかると侵入者の約7割はあきらめ、10分以上かかると侵入者のほとんどはあきらめるといいます。

引用:警察庁 住まいる110番 侵入者プロファイリング

侵入犯にとって、犯行にかかる時間はそのままリスクの増大に直結します。時間がかかればかかるほど、近隣住民や通行人に発見される可能性が高まるからです 。彼らが狙うのは、あくまで「短時間で簡単に侵入できる家」です。

一般的な鍵が1つだけの場合、手慣れた侵入犯にかかれば数分、場合によっては数十秒で解錠されてしまうこともあります。しかし、ここに2つ目の鍵、特に防犯性能の高い鍵があれば、侵入にかかる時間を単純に2倍以上に引き延ばすことができます 。

これにより、あの「5分の壁」を乗り越えることが非常に困難になり、結果的に侵入を断念させる強力なバリアとなるのです。

物理的な時間稼ぎと視覚的な抑止効果

ワンドアツーロックがもたらす効果は、2つの側面に分けられます。

物理的な時間稼ぎ

これは先ほど説明した通り、単純に解錠作業を2回強いることで、侵入に必要な時間を大幅に引き延ばす効果です 。ピッキングなどの不正解錠だけでなく、バールを使ったこじ開けのような破壊行為に対しても、2つの錠前を破るには相応の時間と労力、そして大きな音を発生させるリスクを伴います。

視覚的な抑止効果

これがもう一つの非常に重要な効果です。玄関ドアに鍵が2つ付いているという事実は、侵入を試みる前の下見段階で、犯人に

「この家は防犯意識が高い」

という強烈なメッセージを送ります 。侵入犯は常にリスクを避け、最も侵入しやすい「楽なターゲット」を探しています 。鍵が2つある家を見て、

「この家は面倒そうだ」「他にも防犯カメラや警報システムがあるかもしれない」

と考え、ターゲットから外す可能性が非常に高くなるのです 。つまり、ワンドアツーロックは、実際に攻撃される前の段階で、そもそも狙わせないようにする「抑止力」として機能するのです。

防犯性能の証「CPマーク」とは?

ワンドアツーロックを実践する上で、ただ単に鍵を2つにすれば良いというわけではありません。

2つ目の鍵の「質」が極めて重要になります。

そこで登場するのが、信頼できる防犯性能の証である「CPマーク」です。

CPマークの定義と信頼性

CPマークの「CP」とは、”Crime Prevention”(防犯)の頭文字を取ったものです 。

このマークは、警察庁、国土交通省、経済産業省、そして民間の建物部品関連団体が合同で設置した「官民合同会議」によって定められた、極めて信頼性の高い制度です 。

CPマークが付与されるのは、ピッキングやこじ開け、焼き破りといった、実際に想定される侵入犯の攻撃手口に対して、「5分間以上耐えることができる」と厳しい試験によって証明された製品だけです 。

これはメーカーが自称する「高性能」とは一線を画す、公的に認められた防犯性能の証明なのです 。

なぜCP認定錠を選ぶべきなのか

ワンドアツーロックの目的が、侵入を5分以上遅らせる「5分の壁」を築くことにある以上、その目的を確実に達成できる性能が保証された鍵を選ぶことが不可欠です。

もし2つ目の鍵が簡単に破られるような安価で質の低いものであれば、せっかく鍵を増やしても十分な時間稼ぎができず、ワンドアツーロックの効果は半減してしまいます。

CP認定錠は、その「5分間」の抵抗性能が客観的な試験で証明されています 。したがって、補助錠を追加する際には、CPマークの付いた製品を選ぶことが、防犯効果を最大限に高めるための最も確実で賢明な選択と言えるでしょう 。

CPマークの見つけ方と注意点

CPマークは、製品のパッケージや錠前本体にシンボルマークとして表示されています 。商品を選ぶ際には、このマークの有無を必ず確認してください。

一つ注意点があります。防犯フィルムなどの一部の製品では、製品そのものだけでなく、資格を持った専門の技能者が正しく施工して初めてCPマークの認定品となります 。

これは、製品の性能を100%引き出すためには、適切な取り付けがいかに重要かを示しています。鍵の取り付けにおいても、この考え方は同様に重要です。

【実践編】ワンドアツーロックを実現する4つの方法

それでは、具体的にご自宅のドアをワンドアツーロックにするための方法を4つご紹介します。それぞれのメリット・デメリットを比較し、ご自身の状況や予算に最も合った方法を見つけてください。

方法1:補助錠を追加する

在ある主錠はそのままに、新しく補助錠を1つ追加する方法です。最も一般的で、コストを抑えやすいのが特徴です 。ただし、鍵が2本になるため、持ち歩く鍵が増えるというデメリットがあります 。

方法2:主錠と補助錠をセットで交換・新設する

現在の主錠も防犯性の高いものに交換し、同時に補助錠を新設する方法です。2つの鍵を1本のキーで操作できる「同一キー仕様」にできるため、利便性が高いのが最大のメリットです 。一方で、錠前を2つ購入し、工事も2箇所分となるため、費用は高くなります。

方法3:ドアノブごと交換する

ドアノブと錠前が一体になっている古いタイプのドアの場合や、ドアノブ自体のデザインや機能性を向上させたい場合に有効な方法です。

最近のドアノブ・ハンドル製品には、上下2箇所にシリンダー(鍵穴)が付いたワンドアツーロック仕様のものが多くあります 。ドアのリフォームに近い大規模な工事になりますが、見た目も一新できます。

方法4:鍵穴のない電子錠を追加する

物理的な鍵穴を持たない、暗証番号やカード、スマートフォンで解錠するタイプの電子錠を補助錠として追加する方法です。

鍵穴がないため、ピッキングによる不正解錠のリスクを根本からなくすことができます 。鍵を紛失する心配もなく、利便性も非常に高いですが、導入コストは最も高くなる傾向があります。

これらの方法を一覧で比較できるように、下の表にまとめました。

方法費用目安防犯性利便性設置難易度こんな人におすすめ
1. 補助錠を追加低〜中向上
 (鍵が増える)
まずは手軽に防犯性を高めたい、コストを最優先したい方
2. 主錠と補助錠をセットで新設中〜高大幅に向上
(鍵1本でOK)
利便性と高い防犯性を両立させたい、鍵を増やしたくない方
3. ドアノブごと交換大幅に向上
(交換したノブによる)
非常に高いドア全体の見た目や機能性も一新したい、リフォームを検討中の方
4. 鍵穴のない電子錠を追加非常に高い
(キーレス)
中〜高最新の利便性を求め、ピッキング対策を万全にしたい方

【種類別】補助錠の選び方|あなたに最適な鍵はどれ?

ワンドアツーロックの鍵となる「補助錠」。ここでは、その種類を「取り付けタイプ」と「解錠方法」の2つの軸で分類し、それぞれの特徴と選び方を詳しく解説します。

取り付けタイプで選ぶ

補助錠の取り付け方には、大きく分けて3つのタイプがあります。ご自宅の状況(持ち家か賃貸か)や、求める防犯レベルによって最適なものが異なります。

面付け(つらづけ)タイプ

ドアの室内側の面に、箱型の錠前本体をネジで直接固定するタイプです 。ドアに鍵穴(シリンダー)を通すための穴を開ける工事が必要ですが、ドアにしっかりと固定されるため、最も強度が高く、防犯性に優れています 。持ち家で、本格的な防犯対策をしたい場合に最適な選択肢です。

内付けタイプ

ドアの室内側にのみ取り付けるタイプで、外からは補助錠の存在が全く分かりません 。在宅時の防犯強化に役立ちますが、外出時に外から施錠することはできません。また、小さなお子様やペットが誤って外に出てしまうのを防いだり、ご高齢の方の徘徊防止といった目的でも活用されます 。

簡易タイプ(穴あけ不要)

ドアやドア枠に金具を挟み込んだり、強力な両面テープで貼り付けたりして固定するタイプです 。ドアに穴を開けたり傷をつけたりする必要がないため、賃貸物件にお住まいの方に最適です 。取り付けが簡単な反面、面付けタイプに比べると物理的な強度は劣るため、製品選びが重要になります。

解錠方法で選ぶ

鍵を開ける方法も、ライフスタイルに合わせて選ぶことが大切です。

ディンプルキー

表面に大きさや深さの異なる複数の「くぼみ(ディンプル)」がある鍵です。内部構造が非常に複雑なため、ピッキングによる不正解錠が極めて困難で、現在の防犯錠の主流となっています 。物理的な鍵で高い安全性を求めるなら、第一の選択肢となるでしょう。

暗証番号式

設定した暗証番号を入力して解錠するタイプです 。鍵を持ち歩く必要がないため、紛失のリスクがありません。ご家族が多い場合や、鍵の管理が煩わしいと感じる方におすすめです。鍵穴がないためピッキングの心配もありません 。

スマートロック(電子錠)

 スマートフォンアプリ、指紋認証、専用ICカードなどで解錠する、最も近代的なタイプです 。遠隔で施錠状態を確認したり、一時的な合鍵を電子的に発行したりと、多彩な機能が魅力です。最高の利便性を誇りますが、電池切れのリスクや、比較的高価であることがデメリットとして挙げられます 。

どの解錠方法が自分に合っているか、以下の比較表でチェックしてみてください。

解錠方法防犯性利便性価格帯主なメリット主なデメリットおすすめのユーザー
ディンプルキー


低〜中
・ピッキングに非常に強い

・電源不要で信頼性が高い
・鍵の持ち運びが必要

・鍵を紛失するリスクがある
確実な防犯性能を、比較的低コストで実現したい方
暗証番号式

非常に高い

・鍵を持ち歩く必要がない

・鍵の紛失、複製の心配がない
・番号を忘れると開けられない

・番号を盗み見られるリスク
鍵の管理から解放されたい、家族など複数人で利用する方
スマートロック
非常に高い

非常に高い

・スマホ等で解錠でき便利

・オートロック、遠隔操作など機能が豊富
・電池切れのリスク

・導入コストが高い

・スマホの紛失や故障
最新のテクノロジーで、利便性と安全性を最高レベルで両立したい方

玄関以外への応用

忘れてはならないのが、侵入経路は玄関だけではないという事実です。

警察庁のデータでも、戸建て住宅への侵入経路で最も多いのは「窓」です 。

【侵入手口 一戸建て】

無締り 47.6%

ガラス破り35.7%

ドア破り 2.6%

引用:警察庁 住まいる防犯110番 侵入窃盗の侵入手口(令和6年)

ワンドアツーロックの考え方は、玄関だけでなく、勝手口や窓にも応用することが非常に重要です。

窓にも専用の補助錠を取り付けることで「ワンウィンドウ・ツーロック」を実現し、家全体の防犯レベルを底上げすることができます 。

【賃貸物件にお住まいの方へ】ワンドアツーロック導入の注意点

「賃貸だから防犯対策は諦めるしかない…」

そう思っていませんか?そんなことはありません。賃貸物件でも、ポイントさえ押さえればワンドアツーロックは実現可能です。

ここでは、賃貸にお住まいの方が知っておくべきルールと、具体的な解決策を解説します。

大原則:大家さん・管理会社への事前相談は必須

まず、何よりも先に覚えておいていただきたい大原則があります。それは、必ず大家さんや管理会社に事前に相談し、許可を得ることです 。

賃貸物件はあくまで「借り物」です。許可なくドアに穴を開けるなどの改造を行うことは、賃貸借契約の違反にあたり、退去時に高額な修繕費用を請求されるなど、深刻なトラブルの原因となります。

「原状回復」の壁と、それを乗り越える解決策

賃貸契約には「原状回復義務」というものがあります。これは、退去時に部屋を借りた時の状態に戻して返さなければならない、というルールです 。

そのため、ドアに穴を開ける「面付けタイプ」の補助錠を無断で設置することは、この義務に違反してしまいます。

しかし、この問題を解決する方法があります。それが、先ほどご紹介した「簡易タイプ(穴あけ不要)」の補助錠です 。これらの製品は、ドアやドア枠を傷つけることなく設置・取り外しができるように設計されています。

例えば、ノムラテック社の「どあロックガード」や、ガードロック社の「ぼー犯錠」といった製品は、工具不要で取り付けられるため、賃貸物件の防犯対策として非常に人気があります 。

これらを選べば、原状回復の心配をすることなく、ご自宅の安全性を高めることができます。

費用負担の真実:「貸主負担」の原則と「特約」の現実

「そもそも、防犯対策の費用は大家さんが負担すべきでは?」

という疑問を持つ方もいるでしょう。

確かに、国土交通省が定める「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、入居者の入れ替わりに伴う鍵交換や、物件の安全性を維持するための修繕は、基本的に貸主(大家さん)が負担することが妥当、とされています 。

しかし、ここには注意が必要です。このガイドラインには法的な強制力はなく、多くの賃貸契約書には「特約」という特別な条項が設けられています 。この特約に「鍵交換費用は借主負担とする」といった記載があれば、法的にそれが有効となり、入居者が費用を負担することになるのが一般的です。

ご自身の費用負担については、まず賃貸契約書を隅々まで確認することが重要です。

ワンドアツーロックにかかる費用相場

防犯対策を考える上で、費用は非常に重要な要素です。ここでは、ワンドアツーロックを実現するために、具体的にどれくらいの費用がかかるのか、その内訳と相場を詳しく見ていきましょう。

費用の内訳:何にお金がかかるのか

業者に依頼した場合、請求される費用は主に以下の3つで構成されています。

部品代

これは鍵の種類によって大きく異なり、数千円のシンプルな補助錠から、10万円を超える高機能なスマートロックまで様々です 。

作業費・技術料

鍵の取り付けや交換を行う専門スタッフの工賃です。作業の難易度や時間によって変動し、業者間で価格差が出やすい部分でもあります 。

出張費

スタッフがご自宅まで駆けつけるための交通費や移動費です。業者からの距離によって変動します 。

見積もりを取る際は、これらの内訳が明確に記載されているかを確認することが大切です。

鍵の種類別・作業別の料金目安

以下に、一般的なシナリオごとの費用相場をまとめました。あくまで目安ですが、予算を立てる際の参考にしてください。

簡易補助錠(穴あけ不要)の取り付け

・DIYの場合:部品代のみ(約3,000円〜8,000円)
・業者に依頼する場合:約10,000円〜20,000円

防犯性の高い補助錠(面付けタイプ)の新規取り付け

業者に依頼する場合:約20,000円〜50,000円(部品代+作業費)

ディンプルキーへのシリンダー交換(1箇所)

業者に依頼する場合:約15,000円〜30,000円(部品代+作業費)

電子錠・スマートロックの新規取り付け

業者に依頼する場合:約30,000円〜100,000円以上(部品代+作業費)

シナリオ部品代 目安作業費・出張費 目安合計費用 目安備考
1. DIYで簡易錠(穴あけ不要)を取り付け3,000円〜8,000円0円3,000円〜8,000円最も手軽で低コスト。賃貸におすすめ。
2. 業者にCPマーク付ディンプルキー補助錠の取り付けを依頼10,000円〜20,000円15,000円〜25,000円25,000円〜45,000円防犯性とコストのバランスが良い標準的な選択肢。
3. 業者に主錠と補助錠を同一キー仕様で交換・取り付け20,000円〜40,000円20,000円〜30,000円40,000円〜70,000円利便性と高い防犯性を両立。
4. 業者にスマートロックの取り付けを依頼30,000円〜80,000円15,000円〜30,000円45,000円〜110,000円最新の利便性と最高レベルの安全性を求める方向け
※費用の金額はあくまで目安です、依頼先によって大きく変動する場合があります。

DIYでの取り付けは可能?プロに依頼すべきケースとは

費用を抑えるために

「自分で取り付けられないか?」

と考える方も多いでしょう。

結論から言うと、補助錠の種類によってはDIYも可能ですが、プロに任せるべきケースがほとんどです。

その境界線を正しく理解することが、確実な安全を手に入れるために不可欠です。

DIYでできること:簡易補助錠の取り付け方

DIYで対応可能なのは、基本的に「穴あけ工事が不要な簡易タイプ」の補助錠です 。

両面テープで貼り付けるタイプや、ドア枠に金具を挟んで固定するタイプがこれにあたります。

取り付け手順は非常にシンプルです 。

1 ドアやドア枠の取り付け面を、アルコールなどで拭き、ホコリや油分を完全に取り除く。

2 製品の説明書に従い、取り付け金具や本体を正しい位置に合わせる。

3 両面テープの場合は、空気が入らないように強く圧着する。金具の場合は、ガタつかないようにしっかりとネジを締める。

4 施錠・解錠がスムーズにできるか、数回テストする。

これらは手軽ですが、テープの粘着力や金具の固定力に性能が左右されるため、丁寧な作業が求められます。

プロの領域:穴あけ工事が必要な場合

一方で、ドアにドリルで穴を開ける「面付けタイプ」の補助錠は、迷わずプロに依頼してください

この作業には、以下のような専門的な技術と道具が必要です 。

  • ドアの厚みや材質に合わせた、正確な位置のマーキング。
  • シリンダーを貫通させるための専用工具「ホールソー」を使った、垂直で精密な穴あけ。
  • 錠前本体を固定するための、ミリ単位での位置調整とネジ止め。
  • ドア枠の受け座(ストライク)を設置するための、ノミを使った彫り込み作業。

これらは、少しでもズレると錠が正常に機能しないばかりか、ドアそのものを傷つけ、修復不可能な状態にしてしまうリスクがあります。

なぜプロに頼むべきか

私が穴あけ作業を伴う取り付けをプロに任せるべきだと強く主張するのには、明確な理由があります。それは、

「不適切な取り付けは、防犯性能をゼロにする」

からです。

たとえ最高級のCP認定錠を購入したとしても、取り付けが甘く、少し力を加えただけで外れてしまうようでは何の意味もありません。

むしろ、

「鍵を増やしたから安心だ」

という誤った安心感が、かえって危険な状況を招きかねません。

プロの施工費用は、単なる作業代ではありません。それは、錠前の性能を100%引き出し、確実な安全を手に入れるための「投資」なのです。

あなたとご家族の安全に関わる部分で、決して妥協はしないでください。

信頼できる鍵屋・専門業者の選び方

いざプロに依頼しようと思っても、

「どこに頼めばいいかわからない」

「悪徳業者に騙されたくない」

という不安がつきまといます。

残念ながら、この業界にはお客様の不安に付け込む悪質な業者も存在します。

ここでは、私が長年の経験で培った、信頼できる優良業者を見抜き、悪徳業者を避けるための具体的なポイントをお伝えします。

優良業者を見分けるチェックリスト

良い業者には共通点があります。問い合わせや見積もりの際に、以下の点を確認してください。

□ 作業前に、内訳の明記された明確な見積書を提示してくれるか
□ ホームページに、会社の所在地(架空でない)や固定電話番号が明記されているか
□ 電話対応が丁寧で、こちらの質問に的確に答えてくれるか
□ 作業後の保証やアフターサービス制度があるか
□ クレジットカードなど、複数の支払い方法に対応しているか
□ 豊富な施工実績や、企業との提携実績があるか

これらが一つでも欠けている場合は、少し慎重になった方が良いでしょう。

悪徳業者を避けるための「危険信号」

一方で、悪徳業者には特有の「危険なサイン」があります。これらに当てはまったら、すぐに断る勇気を持ってください。

「鍵開け980円~」など、極端に安い広告

これは典型的な「おとり広告」です。実際には出張費や作業費など、様々な名目で高額な追加料金を請求されます 。

電話で料金を尋ねても「現場を見ないとわからない」の一点張り

おおよその料金すら提示できない業者は、現場で法外な値段をふっかける可能性があります 。

不要な作業や高額な商品を強引に勧めてくる

「これはもう壊すしかないですね」などと、安価な解決策を検討せずに、高額な交換作業に誘導しようとします 。

不必要に大人数で訪問してくる

威圧感を与え、断りにくい状況を作り出すための手口です 。

私のおすすめ:相見積もりを取る

最も確実で、かつ簡単な自衛策は、必ず2〜3社から見積もりを取る(相見積もり)ことです 。

これにより、その作業の適正な料金相場を把握することができます。1社だけが突出して高かったり、逆に安すぎたりする場合は、何らかの理由があると疑うべきです。

また、各社の対応を比較することで、最も信頼できる業者を冷静に判断することができます。手間を惜しまず、この一手間をかけることが、結果的にあなたのお金と安全を守ることにつながります。

まとめ:ワンドアツーロックは、安心な暮らしへの第一歩

ここまで、ワンドアツーロックの重要性から具体的な実践方法まで、詳しく解説してきました。最後に、大切なポイントをもう一度振り返ります。

ワンドアツーロックは、警察庁も推奨する、科学的根拠に基づいた最も効果的な防犯対策の基本です

目的は、侵入に5分以上かけさせる「5分の壁」を築き、侵入犯に犯行を諦めさせることです。

補助錠を選ぶ際は、性能が保証された「CPマーク」付きの製品を選びましょう。

持ち家でも賃貸でも、予算やライフスタイルに合わせた最適な方法が必ず見つかります。

確実な安全のため、穴あけが必要な工事は必ず信頼できるプロに依頼してください。

防犯対策に「やりすぎ」ということはありません。しかし、何から手をつけて良いか分からなければ、不安な気持ちだけが募ってしまいます。

ワンドアツーロックは、そんな不安を解消し、ご自身とご家族の「安心」を手に入れるための、具体的で、確実な第一歩です。ドアの鍵が一つしかない状態は、いわば家の守りに大きな穴が空いているのと同じです。

この記事が、あなたがその一歩を踏み出すきっかけとなれば、防犯の専門家としてこれほど嬉しいことはありません。

先延ばしにせず、今日からあなたの大切な住まいを守るための行動を始めてみてください。その小さな行動が、未来の大きな安心へとつながっていくはずです。

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この記事を書いた人

セキュリティ関連企業に10年以上勤務し、現場スタッフから管理職まで幅広い経験を積んできた防犯のスペシャリスト。

現場対応から、商品選定やスタッフ教育、サービス設計まで、防犯の最前線と裏側の両方を知るプロフェッショナル。

「みんなの安全」を掲げながら、実際には自社製品への誘導に偏る情報に疑問を抱き、中立的で本当に生活者の役に立つ防犯情報を届けるべく、情報発信プラットフォーム【じぶん防犯】を立ち上げる。

「昨日の最適が今日も最適とは限らない」
「じぶんでできる楽しい防犯」

という信念のもと、最新の犯罪動向と技術に常にアンテナを張り、個人が自ら選び、守れる防犯知識と実践方法を日々発信している。

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