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【防犯のプロが徹底解説】これだけは知っておきたい!防犯用語100選|家庭と自分を守るための知識

防犯スペシャリスト「守」

はじめまして。防犯設備士で「じぶん防犯」代表の守(まもる)です。私はこれまで10年以上にわたり、セキュリティ関連企業で家庭用から業務用まで、数多くの防犯対策に従事してきました。

その経験から強く感じているのは、「防犯の知識は、自分と大切な家族を守るための最も強力な武器になる」ということです。

しかし、「防犯」と聞くと、どこか専門的で難しいイメージがあるかもしれません。

そこでこの記事では、皆様の安全な暮らしに不可欠な防犯用語を100個厳選し、プロの視点から一つひとつ丁寧に、そして分かりやすく解説していきます。

現代社会において、「防犯」は単に鍵をかけることだけを指す言葉ではなくなりました。

私たちの住まいという物理的な空間だけでなく、インターネットを介したデジタルな生活、そして地域社会との関わりまで、その範囲は大きく広がっています。

脅威が多様化し、巧妙化する今、私たちの防犯知識もアップデートしていく必要があります。

この記事では、用語をいくつかのテーマに分けて構成しました。まず防犯の基本的な考え方を学び、次に具体的な犯罪の手口を知り、物理的・デジタル的な対策を理解し、最後に地域社会での取り組みへと繋げていきます。この流れに沿って読み進めていただくことで、防犯の全体像を体系的に理解し、ご自身の生活に知識を活かせるようになるはずです。

それでは、安全な毎日への第一歩を踏み出しましょう。

目次

第1部:防犯の基本となる考え方

多くの人が「防犯」と聞いて思い浮かべるのは、頑丈な鍵や防犯カメラといった物理的な「モノ」かもしれません。

しかし、私たちプロが最も重要視するのは、その手前にある「犯罪者に狙われにくい環境をいかに作るか」という考え方です。

犯罪者の心理を読み解き、犯行を未然に防ぐ。このセクションでは、すべての防犯対策の土台となる、その核心的な哲学を解説します。

1. 防犯環境設計

防犯環境設計とは、犯罪が起こりにくい環境を物理的なデザインによって作り出すという考え方です。

これは、特定の製品を指すのではなく、街づくりや住宅設計の根底にある思想そのものです。この考え方に基づき、以下の4つの原則が提唱されています 。

2. 領域性の確保

「ここから先は私の家(テリトリー)ですよ」

という意思表示を明確にすることで、部外者が侵入しにくい雰囲気を作り出すことです 。

例えば、手入れの行き届いた庭や花壇、綺麗なフェンス、表札などは、「この家はきちんと管理されており、住民の関心が高い」という無言のメッセージを犯罪者に送ります。

これにより、不審者は「見られているかもしれない」という心理的な圧迫感を感じ、犯行をためらうのです。

3. 監視性の確保 

地域住民の自然な視線が、犯罪の抑止力になるという考え方です。

具体的には、道路から玄関や窓が見通せるように植木を剪定したり、死角になりやすい場所に照明を設置したりすることが挙げられます 。

犯罪者は人目を避けるため、見通しが良く、隠れる場所のない環境を嫌います。これは、住民同士が自然な形で「監視の目」となることを促す、非常に効果的な手法です。

4. 接近の制御

犯罪者がターゲットに容易に近づけないように、物理的な障害物を設けて人の動きをコントロールすることです 。

例えば、門やフェンスを設置して敷地内への動線を限定したり、駐車場から建物の入り口までを明確に区切ったりすることがこれにあたります。

これにより、犯罪者はターゲットに到達するまでに複数の障壁を乗り越える必要があり、犯行を断念しやすくなります。

5. 対象物の強化

ドアや窓、鍵といった侵入経路となりうる部分の物理的な強度を高め、破壊されにくくすることです 。

ピッキングに強い鍵に交換する、窓ガラスを防犯ガラスにするなどが具体的な例です。

これは防犯対策の中で最も分かりやすいものですが、前述の3つの原則と組み合わせることで、その効果は飛躍的に高まります。

6. 割れ窓理論

「窓ガラスが1枚割れたまま放置されているような地域では、やがて凶悪な犯罪が多発するようになる」という犯罪学の理論です 。

ゴミのポイ捨てや落書きといった軽微な秩序の乱れを放置すると、

「この場所は誰も関心を持っていない」「ルールを守らなくても大丈夫だ」

という雰囲気が生まれ、それがより重大な犯罪を誘発するという考え方です。

自宅の周りを清潔に保ち、破損箇所を速やかに修理することが、地域全体の安全に繋がることを示唆しています。

7. 防犯診断

具体的な対策を講じる前に、専門家などが住宅や施設の防犯上の弱点を評価・分析することです 。

どこにリスクが潜んでいるかを客観的に把握することで、無駄なく効果的な対策を計画的に実施できます。

これは、健康診断で体の状態をチェックするのと同じように、住まいの安全を守るための最初の重要なステップと言えるでしょう。

8. リスク

一般的には「危険性」と訳されますが、防犯の世界では「脅威が脆弱性を利用して損害をもたらす可能性」を指します 。

例えば、「空き巣(脅威)」が「鍵のかかっていない窓(脆弱性)」から侵入し、「金品が盗まれる(損害)」といった具合です。

リスクを正しく理解することが、対策の優先順位を決める上で不可欠です。

9. リスクマネジメント

リスクを特定・評価し、それらを管理・コントロールする一連のプロセス全体を指します 。

対策を講じてリスクを低減する「リスクコントロール」や、万が一の際に備えて保険に加入する「リスクファイナンス」など、多角的なアプローチで被害を最小限に抑えることを目指します。

10. ハインリッヒの法則

「1件の重大事故の背後には、29件の軽微な事故と、300件のヒヤリとするような異常(ヒヤリハット)が存在する」という労働災害における経験則です 。

これは防犯にも応用できます。「鍵を閉め忘れてヒヤッとした」「不審な人物を見かけた」といった小さな出来事を見過ごさず、その段階で対策を講じることが、重大な犯罪被害を防ぐために極めて重要であることを示しています 。

第2部:脅威を知る – 私たちの身近に潜む犯罪

自分や家族を守るためには、まずどのような危険が存在するのかを具体的に知る必要があります。

このセクションでは、住まいを狙った侵入犯罪から、街中で遭遇しうる犯罪、そして年々巧妙化する詐欺の手口まで、私たちが直面する可能性のある脅威を詳しく解説します。

敵を知ることが、効果的な防御の第一歩です。

2.1 住まいを狙った侵入犯罪

犯罪者がどのような手口で家に侵入してくるのかを知ることは、対策を立てる上で欠かせません。侵入者は常に「最も簡単に入れる家」を探しています。

11. 侵入盗

住宅などの建物内に侵入し、金品を盗む犯罪の総称です 。手口によって、主に以下の3つに分類されます。

12. 空き巣

家の住人が外出などで不在の時間帯を狙って侵入する手口です 。侵入盗の中で最も多い割合を占めます。

13. 忍び込み

 夜間など、住人が就寝している時間帯に侵入する手口です 。住人と遭遇する危険性が高く、非常に悪質です。

居空き

住人が在宅中でありながら、昼寝や食事、入浴などで他の部屋にいる隙を狙って侵入する手口です 。「家にいるから大丈夫」という油断が狙われます。

無締り

鍵のかかっていない玄関や窓から堂々と侵入する手口です 。驚くべきことに、住宅への侵入手口で最も多いのがこの「無締り」で、地域によっては3割以上を占めることもあります 。

これは、ピッキングなどの特殊技術を必要とせず、犯罪者にとって最もリスクの低い方法だからです。つまり、日々の施錠習慣こそが、最も簡単で効果的な防犯対策であることを物語っています。

ガラス破り

窓ガラスを破壊して侵入する手口の総称です 。手口はさらに細分化されます。

こじ破り

ドライバーなどの工具をガラスと窓枠の隙間に差し込み、てこの原理で小さな範囲のガラスを割って、そこから手を入れて鍵(クレセント錠)を開ける手口です 。

打ち破り

石やハンマーなどでガラス全体を叩き割る、大胆な手口です 。大きな音が出るため、人通りの少ない場所や、住人が不在の家が狙われやすい傾向にあります。

焼き破り

ライターやガストーチでガラスを部分的に熱し、温度差でひびを入れて静かに割る手口です 。音を立てずにガラスを破ることができるため、巧妙な手口として知られています。

ピッキング

鍵穴にピックと呼ばれる特殊な金属製の工具を挿入し、シリンダー内部のピンを操作して解錠する手口です 。古いタイプの鍵は、このピッキングに対して非常に脆弱です。

サムターン回し

玄関ドアにドリルで穴を開けたり、ドアスコープを取り外したりして、そこから特殊な工具を差し込み、ドアの内側にある鍵のつまみ(サムターン)を直接回して解錠する手口です 。

カム送り解錠

ドアとドア枠の隙間に特殊な工具を入れ、錠ケース(錠前の本体部分)の「カム」と呼ばれる部品を直接動かしてデッドボルトを解錠する手口です 。

バンピング

特殊な凹凸をつけた「バンプキー」を鍵穴に差し込み、軽く叩く衝撃でシリンダー内部のピンを一瞬だけ揃え、その隙に鍵を回して解錠する手口です 。ピッキングよりも短時間で解錠できる場合があります。

こじ開け

バールなどの工具をドアとドア枠の隙間にこじ入れ、てこの原理でドアや錠前を破壊して侵入する手口です 。

個人や街中で発生する犯罪

脅威は家の中だけではありません。一歩外に出れば、様々な犯罪に遭遇する可能性があります。

街頭犯罪

路上や公園、駅など、屋外の公共の場所で発生する犯罪の総称です 。ひったくりやスリなどが含まれます。

 ひったくり

バイクや自転車ですれ違いざまに、歩行者のバッグなどを奪い取る犯罪です 。バッグを車道と反対側に持つなどの対策が有効です。

置き引き

カフェや電車内などで、座席に置いたまま少し目を離した隙に荷物を盗む犯罪です 。貴重品は常に身につけておくことが重要です。

28. スリ

人混みなどに紛れて、気づかれないように他人のポケットやバッグから財布などを盗む犯罪です 。

29. 路上強盗

路上で、暴力や脅迫を用いて金品を奪う犯罪です 。夜間の単独行動を避ける、人通りの多い道を選ぶなどの注意が必要です。

30. ストーカー

特定の個人に対して、つきまといや待ち伏せ、無言電話などの嫌がらせ行為を執拗に繰り返すことです 。エスカレートする危険性が高く、日本では「ストーカー規制法」によって取り締まられています 。

31. 痴漢

主に満員電車内などで、体を触るなどのわいせつな行為を行う犯罪です 。

32. 通り魔

公共の場所で、不特定の人物を無差別に殺傷する犯罪です 。予測が困難なため、周囲の異変にいち早く気づき、その場から離れる判断力が求められます。

33. 盗撮

相手の同意なく、スカートの中や入浴シーンなどを撮影する卑劣な犯罪です。小型カメラの高性能化により、手口が巧妙になっています。

34. 盗聴

盗聴器を仕掛けるなどして、他人の会話を秘密裏に聞く行為です 。プライバシーを著しく侵害する犯罪です。

35. 略取・誘拐

暴力や欺罔(ぎもう)を用いて、人をその生活環境から無理やり連れ去る犯罪です 。子供の安全を守るための標語として「いかのおすし」(知らない人についていかない、他人の車にのらない、おおごえで叫ぶ、すぐ逃げる、大人にしらせる)が広く知られています 。

2.3 巧妙化する詐欺

高齢者を中心に被害が後を絶たない詐欺。その手口は日々巧妙化しており、誰もが被害者になる可能性があります。

36. 特殊詐欺

電話やハガキ、メールなどを利用して不特定多数の人物を騙し、金銭をだまし取る犯罪の総称です 。かつて「振り込め詐欺」と呼ばれていたものが、手口の多様化に伴い、この名称に統一されました。

37. オレオレ詐欺

息子や孫などになりすまして電話をかけ、「事故を起こした」「会社の金を使い込んだ」などと嘘を言って、動揺した親族から現金をだまし取る、特殊詐欺の典型的な手口です 。

38. 架空料金請求詐欺

利用した覚えのない有料サイトの利用料などを名目に、ハガキやメールで「未納料金があります。支払わなければ法的手続きに移行します」などと脅し、金銭を請求する手口です 。

39. 還付金詐欺

市役所の職員などを名乗り、「医療費の還付金がある」などと嘘の電話をかけ、ATMに誘導して、実際には犯人の口座にお金を振り込ませる手口です 。

40. 融資保証金詐欺

実際には融資する意思がないにもかかわらず、融資を申し込んできた人に対し、「保証金が必要」「信用情報を確認するため」などと言って、先に金銭を振り込ませてだまし取る手口です 。

41. リフォーム詐欺

突然訪問し、「屋根が壊れている」「このままだと家が倒れる」などと不安を煽り、不要なリフォーム工事を高額な料金で契約させる悪質な商法です 。

42. ワンクリック詐欺

ウェブサイト上のリンクを一度クリックしただけで、「登録完了」などの画面が表示され、高額な料金を請求される手口です 。多くの場合、支払い義務はありません。

第3部:物理的な防犯対策 – 我が家を鉄壁にする

犯罪者の心理や手口を理解した上で、次に取り組むべきは物理的な防御力を高めることです。

このセクションでは、住まいの「弱点」となりがちな玄関や窓を強化するための具体的なハードウェアや、侵入者を心理的・物理的に撃退するための監視・警報設備について詳しく解説します。

ここでの目的は、単に侵入を防ぐことだけではありません。犯罪者に

「この家は時間がかかりそうだ」「リスクが高い」

と思わせ、犯行を諦めさせることが真の狙いです。

3.1 玄関ドアと鍵の強化

玄関は家の顔であると同時に、侵入の主要なターゲットです。ここを強化することが、住まい全体の安全性を大きく左右します。

43. 錠

施錠・解錠を行う機構の総称です 。

44. シリンダー錠

鍵を差し込む円筒(シリンダー)部分と、錠本体が組み合わさった、最も一般的な錠前です 。

45. ディスクシリンダー錠

鍵のギザギザが片側だけにある、古いタイプの錠前です。構造が単純なため、ピッキングに非常に弱く、現在では生産が中止されています。もしご自宅の鍵がこのタイプであれば、早急な交換を強く推奨します 。

46. ディンプルシリンダー錠

表面に大きさの異なる複数のくぼみ(ディンプル)がある鍵を使用する、防犯性の高い錠前です。ピンの構造が複雑で、ピッキングによる不正解錠が極めて困難です 。

47. ワンドアツーロック

1つのドアに2つの錠前を設置することです 。これにより、侵入にかかる時間が単純に2倍以上になり、犯罪者が侵入を諦める確率が格段に高まります。防犯の基本中の基本です。

48. 補助錠

ワンドアツーロックを実現するために、主錠とは別に追加で取り付ける錠前のことです 。

49. デッドボルト

施錠した際に、ドアからドア枠に向かって突き出す金属製の角棒(かんぬき)のことです 。これがドアを固定する主要な役割を果たします。

50. サムターン

ドアの内側についている、指でひねってデッドボルトを操作するためのつまみです 。これが「サムターン回し」の標的となります。

51. ドアスコープ

ドアを開けずに外の様子を確認できる覗き窓です 。安易にドアを開ける危険を減らします。

52. ドアチェーン

ドアを少しだけ開けた状態で固定できる鎖状の金具です 。しかし、過信は禁物で、簡単に切断される危険性もあります。

53. CPマーク

「防犯性能の高い建物部品」の目印です。警察庁や関連団体による厳しい侵入試験に合格し、侵入に5分以上耐えられると認められた製品(錠前、ガラス、ドアなど)にのみ表示が許可されます 。製品選びの際は、このマークがあるかどうかを必ず確認しましょう。

54. 電気錠

電気の力で施錠・解錠を制御する錠前です。オートロックシステムや入退室管理システムと連動させることができます 。

55. オートロック

マンションのエントランスなどで、ドアが閉まると自動的に施錠されるシステムです 。部外者の侵入を抑制する効果があります。

3.2 窓と開口部の防犯

玄関と並んで、窓は空き巣の主要な侵入経路です。特に大きな窓や、人目につきにくい場所にある窓は注意が必要です。

56. クレセント錠

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この記事を書いた人

セキュリティ関連企業に10年以上勤務し、現場スタッフから管理職まで幅広い経験を積んできた防犯のスペシャリスト、防犯設備士。

現場対応から、商品選定やスタッフ教育、サービス設計まで、防犯の最前線と裏側の両方を知るプロフェッショナル。

「みんなの安全」を掲げながら、実際には自社製品への誘導に偏る情報に疑問を抱き、中立的で本当に生活者の役に立つ防犯情報を届けるべく、情報発信プラットフォーム【じぶん防犯】を立ち上げる。

「昨日の最適が今日も最適とは限らない」
「じぶんでできる楽しい防犯」

という信念のもと、最新の犯罪動向と技術に常にアンテナを張り、個人が自ら選び、守れる防犯知識と実践方法を日々発信している。

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