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【専門家が徹底解説】2024年最新の防犯統計データ|日本の犯罪傾向と今日からできる最強の安全対策

目次

はじめに:変わりゆく日本の治安と、あなたの安全

防犯スペシャリスト「守」

はじめまして。「じぶん防犯」代表の守(まもる)です。私はこれまで10年以上にわたり、セキュリティ関連企業で個人のお宅から業務用施設まで、数多くの防犯対策の現場に携わってきました。

その豊富な経験から断言できるのは、「正しい情報を知ることが、最強の防犯の第一歩である」ということです。

多くの方が「日本は安全な国だ」というイメージをお持ちだと思います。実際に、長年にわたり日本の犯罪件数は減少し続け、世界でもトップクラスの治安を誇ってきました。しかし、その潮目が変わりつつあることをご存知でしょうか。

最新の公式統計によると、日本の犯罪件数は3年連続で増加に転じています 。これは、約20年ぶりに見られる大きな変化です。

刑法犯認知件数は、平成8年から平成14年にかけて増加し続け、同年には約285万件に達しました。その後、平成15年からは減少に転じ、令和3年まで減少してきましたが、令和6年は73万7,679件と、戦後最少となった令和3年から3年連続して増加(前年比4.9%増加)しています。

引用:警察庁 住まいる防犯110番 データで見る侵入犯罪の脅威

この記事は、決して皆さんを不安にさせるために書いているのではありません。むしろその逆です。警察庁や法務省が公表する信頼性の高い最新の統計データを紐解き、「何が、どこで、どのように起きているのか」を正確に理解することで、漠然とした不安を具体的な対策に変えること。それが私の目的です。

この記事を通じて、私は「じぶん防犯」という考え方をお伝えしたいと思っています。

これは、他人任せにせず、一人ひとりが正しい知識で自らの安全を守るという主体的な防犯スタイルです。

統計データは、そのための最も強力な羅針盤となります。それでは、日本の治安の「今」を一緒に見ていきましょう。

日本の治安、全体の流れを読む – 犯罪は本当に増えているのか?

防犯を考える上で、まずは日本全体の犯罪の大きな流れを把握することが不可欠です。

個別の犯罪対策も、この全体像を理解して初めて効果的なものとなります。ここでは、最新のデータから日本の治安の現状を読み解きます。

20年ぶりの増加傾向:日本の治安は新たな局面へ

長年、日本の治安を語る上で「犯罪件数の減少」は共通認識でした。平成14年(2002年)をピークに、刑法犯認知件数は一貫して減り続け、私たちはその恩恵を享受してきました 。しかし、その時代は終わりを告げました。

警察庁の発表によると、令和6年(2024年)の刑法犯認知件数は73万7,679件に上り、戦後最少を記録した令和3年から3年連続で増加しました。前年比で見ると4.9%増という、決して小さくない数字です 。

この増加の背景として、警察庁は新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴う社会活動の正常化、つまり「人流の回復」を挙げています。

人々が街に出る機会が増えたことで、必然的に街頭での犯罪や侵入犯罪の機会も増えたという分析です 。これは事実の一面を捉えていますが、私たちはもう一歩踏み込んで考える必要があります。

長年の平和と、それに続くパンデミックによる外出自粛期間は、私たちの社会から「防犯意識」という名の緊張感を少しずつ奪っていったのかもしれません。

長らく安全な環境に慣れ親しんだ結果、社会全体の「防犯体力」が落ちていたところに、急激に社会活動が戻った。そのギャップが、犯罪者に隙を与えている可能性があります。

最も注視すべき数字:検挙率の低下が意味するもの

犯罪件数の増加以上に、私たちが深刻に受け止めるべきデータがあります。それは「検挙率の低下」です。

令和5年の刑法犯全体の検挙率は38.3%でした。これもまた、2年連続の低下となります 。この数字が何を意味するか、お分かりでしょうか。

刑法犯の検挙率は38.3%、重要犯罪の検挙率は81.8%、重要窃盗犯の検挙率は51.4%と、いずれも2年連続減少した

引用:警察庁 令和5年の犯罪情勢

これは、発生した犯罪10件のうち、6件以上が未解決のままだという厳しい現実を示しています。警察の方々が日夜尽力されていることは間違いありません。

しかし、犯罪の質が変化し、件数が増加する中で、すべての事件を解決することが困難になっているのです。

この事実は、私たちに重要なメッセージを突きつけています。

「犯罪が起きてからでは遅い」
「警察だけに頼る時代は終わった」

ということです。

これからの時代、安全は与えられるものではなく、自ら積極的に守りに行くもの、つまり「じぶん防犯」が不可欠となるのです。

刑法犯認知件数前年比検挙率
令和3年 (2021年)568,104件-7.5%46.6%
令和4年 (2022年)601,331件+5.8%41.6%
令和5年 (2023年)703,351件+17.0%38.3%
出典:警察庁「令和5年の犯罪情勢」

この表を見れば、傾向の変化は一目瞭然です。件数が増加し、検挙率が低下するという二つの流れは、私たち一人ひとりが防犯意識を高める必要性を強く示唆しています。

あなたの暮らしを脅かす犯罪 – 統計データで見る3大脅威

全体の犯罪が増加している中でも、特に私たちの日常生活に直接的な影響を及ぼす犯罪があります。ここでは、統計データを基に「侵入犯罪」「自動車盗難」「特殊詐欺」という3つの大きな脅威に焦点を当て、その実態を詳しく分析します。

侵入犯罪:あなたの「聖域」が狙われている

自宅は、誰にとっても心安らぐ「聖域」であるはずです。しかし、その聖域が今、深刻な脅威に晒されています。

増加する侵入窃盗、30分に1件の現実

令和5年、侵入窃盗の認知件数は全国で4万4,228件。これは前年から20.9%も増加した数字です 。特に、私たちが暮らす住宅を狙った侵入窃盗は1万7,469件で、こちらも11.3%増加しています 。

この数字を時間に換算すると、日本全国で約30分に1軒のペースで住宅が侵入被害に遭っている計算になります 。これは決して他人事ではありません。

ただし令和6年は4万3036件で前年比-2.7%と減少してており、住宅対象侵入窃盗は1万6,000件で前年比-8.4%と減少しています。

それでも一日当たり約44件の侵入窃盗が発生している状況です。

住宅対象侵入窃盗は、平成16年から概ね減少傾向にあり、令和6年は1万6,000件で前年比-8.4%と減少しています。それでも一日当たり約44件の侵入窃盗が発生しており、未だ多くの住宅が被害に遭っているのです。

出典:警察庁 住まいる110番 侵入窃盗データ

狙われるのは「一戸建て」、侵入口は「窓」

では、どのような家が狙われやすいのでしょうか。統計は明確な答えを示しています。 侵入窃盗の発生場所として最も多いのは「一戸建て住宅」で、全体の29%を占めています 。

侵入窃盗の発生場所別認知件数は、一戸建住宅が29%と最も多く、一般事務所が9.9%で生活環境営業が7%と続いています。

引用:警察庁 住まいる防犯110番 侵入窃盗の発生場所別認知件数(令和6年)

共同住宅(マンション・アパート)を合わせると、住宅全体で約4割に達し、いかに私たちの住まいがターゲットになっているかがわかります 。

そして、泥棒がどこから侵入してくるのか。これもデータがはっきりと示しています。 一戸建て住宅の場合、侵入口として圧倒的に多いのが「窓」です 。

多くの人が玄関の鍵は意識しますが、窓の防犯意識は比較的低い傾向にあり、そこを突かれているのです。一方、3階建て以下の共同住宅では「表出入口(玄関)」が最多ですが、窓からの侵入も依然として多くなっています 。

侵入の具体的な手口を見ると、最も多いのは「無施錠」、つまり鍵のかけ忘れです 。

ゴミ出しなどのわずかな時間でも施錠を怠った隙を狙われます。次いで多いのが、ドライバーなどで窓ガラスを割って侵入する「ガラス破り」です 。

この2つが侵入窃盗の主要な手口であるという事実は、対策を考える上で非常に重要なポイントとなります。

住宅タイプ最多の侵入口最多の侵入手口
一戸建住宅ガラス破り / 無施錠
共同住宅(3階建以下)表出入口(玄関)無施錠 / ガラス破り
共同住宅(4階建以上)表出入口(玄関)合カギ / 無施錠
住宅タイプ別・侵入窃盗の傾向(令和5年データより)

ご自身の住まいのタイプと照らし合わせて、どこにリスクが潜んでいるかを確認してみてください。

自動車盗難:プロの窃盗団が狙う「人気車種」

自動車盗難もまた、手口が巧妙化し、深刻な問題となっています。令和5年の自動車盗難の認知件数は5,762件でした 。(出典:引用:警察庁 生活安全課 自動車盗難等の発生状況等について

この犯罪の特徴は、犯行が場当たり的ではなく、特定の車種を狙った計画的なものである点です。

盗難車ランキングと驚異的なリスク率

統計によると、令和5年に最も盗まれた車種は以下の通りです 。

  1. トヨタ・アルファード(700台)
  2. トヨタ・ランドクルーザー(643台)
  3. トヨタ・プリウス(428台)

    引用:警察庁 生活安全課 車名別盗難台数

これらの人気車種が、窃盗団の主なターゲットとなっています。しかし、単純な盗難台数だけでは見えてこない、より深刻なリスクがあります。それは「保有台数あたりの盗難率」です。

この観点で見ると、レクサスLXの状況は衝撃的です。保有台数1,000台あたりの盗難台数は32.7台

これは、街を走るレクサスLXの30台に1台が1年間で盗まれている計算になり、極めて高いリスクに晒されていることを示しています 。

ランドクルーザーの2.2台、アルファードの0.9台と比較しても、その異常さが際立ちます 。

なぜこれらの車種が狙われるのでしょうか。

それは、海外、特に発展途上国での高い人気と需要があるためです 。頑丈で悪路走破性が高いランドクルーザーや、積載能力に優れたアルファード、ハイエースなどは、海外のブラックマーケットで高値で取引されます。

日本の窃盗団は、その国際的な犯罪ネットワークの末端で「注文」を受け、犯行に及んでいるのです。

これは単なる窃盗ではなく、グローバルな犯罪ビジネスの一部と化しています。この背景を理解すると、相手が高度な技術を持つプロの集団であり、生半可な対策では通用しないことがわかります。

最新の電子攻撃:「CANインベーダー」と「リレーアタック」

現在の自動車盗難は、物理的に鍵を壊すような原始的な手口ではありません。車の電子システムを乗っ取る、高度な手口が主流です。

リレーアタック

これは、家の中にあるスマートキーが発している微弱な電波を、特殊な機器で受信・増幅し、車まで中継(リレー)する手口です。

車は「キーがすぐ近くにある」と誤認し、ドアの解錠やエンジンの始動を許可してしまいます。犯人は複数人組で、一人が家に近づき、もう一人が車で待機する役割分担で行われます 。

CANインベーダー

リレーアタックよりさらに進んだ、直接的な攻撃です。犯人は、車のバンパー裏やタイヤハウス内にある「CAN(キャン)」と呼ばれる車両の神経網のような配線に、特殊な装置を接続します。

そこから不正な信号を送り込み、ドアの解錠やエンジン始動を直接命令します。スマートキーが家にあろうがなかろうが関係なく、車自体を乗っ取ってしまう非常に悪質な手口です 。

これらの手口は、数分という短時間で、音も立てずに車を盗み去ることを可能にします。

特殊詐欺:見えない、聞こえない攻撃

3つ目の脅威は、私たちの心に直接攻撃を仕掛けてくる「特殊詐欺」です。その被害は金銭的なものに留まらず、人の信頼を踏みにじり、深い心の傷を残します。

被害額は増加傾向、高齢者を狙う古典的手口

令和6年、特殊詐欺の認知件数は2万1,043件、被害総額は718.8億円を超えました 。依然として深刻な状況が続いています。

息子や孫をかたる「オレオレ詐欺」や、市役所職員などを名乗り「医療費の還付金がある」とATMに誘導する「還付金詐欺」といった古典的な手口は、今なお猛威を振るっています 。

これらの詐欺では、被害者の多くが高齢者であり、統計では被害者の65.4%を65歳以上が占めるなど、親世代、祖父母世代が主なターゲットとなっています 。

令和6年の特殊詐欺の認知件数は21,043件(+2,005件、+10.5%) 、被害額は718.8億円(+266.2億円、+58.8%)と、前年に比べて総認知件数、被害総額ともに増加。

引用:警察庁 生活安全課 令和6年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の

認知・検挙状況等について(確定値版)

詐欺の新たな主戦場「SNS」

私たちが「特殊詐欺=高齢者が電話で騙される犯罪」と考えている間に、犯人たちは新たな主戦場を開拓していました。それが「SNS」です。
令和5年に急増したのが、「SNS型投資詐欺」と「SNS型ロマンス詐欺」です。

SNS型投資詐欺

SNS上の広告やダイレクトメッセージで著名人や投資家をかたり、「絶対に儲かる」などと甘い言葉で投資話を持ちかけ、偽の投資アプリなどに入金させて金銭をだまし取る手口。

SNS型ロマンス詐欺

SNSで外国人などを名乗って接触し、恋愛感情や親近感を抱かせた上で、「二人で暮らすための資金」「事業のトラブル解決費用」などの名目で送金を要求する手口。

驚くべきことに、令和6年の統計では、この新しいSNS型の詐欺2種類だけで被害額が約1271.9億円に達し、従来の電話を使った詐欺全体の被害額を上回る事態となっています 。

令和6年のSNS型投資詐欺の認知件数は6,413件(+4,142件、+182.4%)、被害額は871.1億円(+593.2億円、+213.4%)と認知件数、被害額ともに前年から大きく増加しており、特に被害額については前年の約3倍に上る。

令和6年のSNS型ロマンス詐欺の認知件数は3,824件(+2,249件、+142.8%)、被害額は400.9億円(+223.6億円、+126.1%)と、認知件数、被害額ともに前年から大きく増加しており、前年の約2倍に上る。

出典:令和6年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値版)

これは、詐欺の脅威がもはや高齢者だけのものではなく、SNSを利用するあらゆる世代にとって身近な危険になったことを意味します。

巧みな心理操作と、顔の見えない相手を信じ込ませる手口は、非常に見抜きにくくなっています。

統計から戦略へ – 今日からできる「じぶん防犯」実践ガイド

ここまで、日本の犯罪の現状をデータで見てきました。しかし、データは分析するだけでは意味がありません。

それを具体的な行動、つまり「じぶん防犯」に繋げてこそ価値があります。この章では、統計データから導き出された、本当に効果のある防犯対策を具体的にお伝えします。

「城」を固める:侵入犯が嫌がる4大原則

侵入犯罪の統計からわかるのは、泥棒は「捕まるリスク」を極端に嫌う臆病な存在だということです。

彼らが嫌がる家の特徴を突き詰めると、「時間・光・音・目」という4つの原則に行き着きます。

この4原則に基づいて、あなたの家を泥棒にとって「やりにくい家」に変えていきましょう。

時間を稼ぐ

泥棒が最も嫌うのは、侵入に時間がかかることです。警察の調査では、侵入に5分以上かかると、泥棒の約7割が諦めるというデータがあります 。この「5分」が、防犯対策のゴールデンルールです。

侵入に手間取り、5分かかると侵入者の約7割はあきらめ、10分以上かかると侵入者のほとんどはあきらめるといいます。「侵入に時間をかけさせる」。これが、侵入されるかどうかの大きなポイントになります。

引用:警察庁 住まいる防犯110番 侵入者プロファイリング

窓の対策(最重要)

一戸建ての最大の弱点である窓には、二重三重の対策が必要です。まず、すべての窓、特にトイレや浴室などの小窓にも「補助錠」を取り付けましょう

クレセント錠(窓の標準的な鍵)だけでは不十分です。さらに、ガラス破り対策として「防犯フィルム」を貼ることで、ガラスを割るのに時間がかかり、大きな音も出るため、非常に高い効果が期待できます 。

ドアの対策

基本は「ワンドア・ツーロック(1つのドアに2つの鍵)」です 。もし鍵が一つしかない場合は、すぐに補助錠を取り付けてください。

また、古い鍵はピッキング(特殊な工具で開錠する手口)に弱い可能性があります。防犯性能の高い「CPマーク」付きの鍵に交換することも有効な投資です 。

光で照らす

泥棒は暗闇を好み、人目を避けて行動します 。その隠れ場所を光で奪いましょう。

人感センサーライトの設置

費用対効果が最も高い防犯グッズの一つが、人感センサーライトです。玄関や勝手口、窓の周り、庭の隅など、家の周りの死角になりやすい場所に設置しましょう。

人が近づくとパッと明かりがつくことで、泥棒を驚かせ、犯行を躊躇させる効果があります 。

音で威嚇する

予期せぬ音は、泥棒の警戒心を一気に高めます。静かに侵入したい彼らにとって、音は天敵です。

防犯砂利の活用

家の周りや窓の下に「防犯砂利」を敷き詰めるのは、古くからあるシンプルながら非常に効果的な方法です。この砂利の上を歩くと「ジャリジャリ」と大きな音が鳴るため、泥棒は近づくことすら嫌がります 。

窓用アラーム

窓ガラスの振動や開閉を検知して大音量のアラームを鳴らす装置も有効です。音で威嚇すると同時に、周囲に異常を知らせることができます 。

「目」を増やす

「見られている」という意識は、犯罪の最大の抑止力です。この「目」には、機械の目と人の目の両方があります。

防犯カメラの設置

防犯カメラは、もはや特別な設備ではありません。カメラが設置されていることが外からわかるだけで、強力な威嚇効果があります。

犯行の様子を記録できるため、万が一の際の証拠にもなります。プロの泥棒はダミーカメラを簡単に見抜くことがあるため、実際に録画機能があるものを選ぶことを強くお勧めします 。

防犯スペシャリスト「守」

導入費用をどうしても抑えたい場合はダミーカメラも選択肢に入ります。正しい選び方、設置方法は別記事で解説しています、ぜひご覧ください!

地域の目(コミュニティの力)

庭の植木を剪定して見通しを良くする、家の周りを整理整頓するといった基本的なことも「隠れる場所をなくす」という意味で重要です 。

さらに、日頃からご近所さんと挨拶を交わし、良好な関係を築いておくことも立派な防犯対策です。見慣れない人物がうろついていれば自然と気づく、そんなコミュニティは泥棒にとって非常にやりにくい環境です 。

愛車を守る:最新の盗難手口への二重防衛

自動車盗難の統計からわかるのは、相手が電子システムを熟知したプロ集団だということです。

したがって、対策も「電子的防御」と「物理的防御」の二重構えで臨む必要があります。

 電子的な防御(リレーアタック対策)

リレーアタックは、スマートキーの電波を盗む手口です。つまり、その電波を遮断すれば防ぐことができます。

電波遮断ポーチ/ケース

最も確実で簡単な方法です。車を使わないときは、スマートキーを専用の電波遮断ポーチやケースに入れて保管する習慣をつけましょう 。

金属製の缶

専用ポーチがない場合の応急処置として、お菓子の缶などの金属製の缶に入れるだけでも電波を遮断する効果があります 。

節電モードの活用

最近のスマートキーには、電波を一時的に止める「節電モード(スリープモード)」が搭載されているものがあります。メーカーによって操作は異なりますが、多くは施錠ボタンを押しながら解錠ボタンを2回押すなどで設定できます。取扱説明書を確認してみましょう 。

キーの保管場所

絶対に玄関先や窓際にキーを置かないでください。犯人は家の外から電波を探しています。リビングなど、家の中心部に保管するのが基本です 。

物理的な防御(CANインベーダー対策)

CANインベーダーはキーを必要としないため、電子的防御では防げません。唯一の対抗策は、車を物理的に動かせなくすることです。

ハンドルロック

窃盗犯は時間を嫌います。頑丈な金属製のハンドルロックでハンドルを固定することは、視覚的な威嚇効果と物理的な犯行妨害の両面で絶大な効果を発揮します。これがCANインベーダーに対する最も有効な対策の一つです 。

タイヤロック

特に盗難リスクの高い車種や、長期間駐車する場合には、ホイールを固定するタイヤロックを追加することで、さらに防犯性を高めることができます 。

【最強の組み合わせ】

「電波遮断ポーチ(電子的防御)」+「ハンドルロック(物理的防御)」 この二重の対策を講じることで、リレーアタックとCANインベーダーの両方に対応でき、あなたの愛車が狙われるリスクを劇的に下げることができます。

家族と資産を守る:見えない詐欺師を撃退する約束事

特殊詐欺から身を守るために最も重要なのは、高度な機械ではなく、家族間のシンプルな「約束事」と正しい知識です。

家族で守る合言葉:「一旦切る、確認する、相談する」

お金に関する不審な電話やメッセージが来たら、パニックにならず、この3ステップを徹底してください。

STEP
一旦切る

相手が誰であろうと、どんなに急かしてきても、まずは電話を切ります。詐欺師は、相手に考える時間を与えないようにパニックを煽るのが常套手段です。

STEP
確認する

息子や警察、銀行などを名乗った場合でも、相手から教えられた番号ではなく、必ず自分が知っている本来の電話番号にかけ直して事実を確認します。

STEP
相談する

一人で判断せず、他の家族や友人、あるいは警察の相談専用電話「#9110」に電話して相談してください。

この簡単なルールを家族全員で共有しておくだけで、多くの詐欺被害は防げます。

社会の防衛網を知っておく

私たちは一人で戦っているわけではありません。社会全体で詐欺と戦うための仕組みが作られています。

金融機関の対策

銀行は、高齢者のATMでの1日の振込限度額を引き下げたり、窓口で高額な現金を引き出そうとする方に積極的に声をかけたりする対策(預手プラン)を進めています 。また、「ATMでの携帯電話」の通話を禁止する運動も全国的に展開されています 。

通信会社の対策

電話会社は、詐欺で使われやすい国際電話からの着信をブロックするサービスや、非通知・登録外の番号からの着信を拒否するサービスを提供しています 。

新しいSNS詐欺との戦い方

SNS型の詐欺に対しては、心構えが重要です。「うますぎる話は、すべて詐欺」。この一言に尽きます。

  • SNSで知り合っただけの相手からの投資話は、100%詐欺だと考えてください。
  • 「元本保証」「絶対に儲かる」という言葉が出てきたら、即座に関係を断ちましょう。
  • いかなる理由であれ、個人名義の銀行口座にお金を振り込むように指示されたら、それは詐欺です。正規の金融機関がそのような取引を要求することはありません。

まとめ:防犯は特別なことではない、日々の暮らしの一部です

この記事では、最新の公式統計に基づき、日本の犯罪情勢の現状と、それに対する具体的な防犯策を解説してきました。

重要なポイントを改めて整理します。

  • 日本の犯罪件数は、約20年ぶりに増加傾向に転じ、私たちの安全を取り巻く環境は変化しています。
  • 脅威は、鍵のかけ忘れを狙う単純な空き巣から、車の電子システムを乗っ取る高度な窃盗団、そしてSNSを介して心を操る詐欺師まで、多岐にわたります。

しかし、これらのデータは、私たちを怖がらせるためのものではありません。むしろ、どこに注意を払い、何に備えればよいかを教えてくれる「武器」です。

泥棒が5分で侵入を諦めることを知れば、補助錠一つ、防犯フィルム一枚の価値がわかります。

何百万円もする高級車が、数千円の金属製の缶やハンドルロックで守れる可能性があることを知れば、対策を講じない理由はありません。

家族との簡単な約束事が、何千万円もの詐欺被害を防ぐ砦になることを知れば、今日にでも話し合うべきだと気づくはずです。

これが「じぶん防犯」の神髄です。 特別なことではありません。日々の暮らしの中に、ほんの少しの知識と意識を取り入れるだけです。

この記事を読み終えたら、ぜひ一つでいいので行動に移してみてください。

  • 家の窓に補助錠が付いているか、確認してみる。
  • 車のキーを入れるための、蓋つきの缶を探してみる。
  • ご両親に電話して、「変な電話があったら、まず切って、私にかけ直してね」と伝えてみる。

その小さな一歩の積み重ねが、あなたと、あなたの大切な人の未来を守る、最も確実で強力な防衛策となるのです。

あなたの安全は、あなた自身の手で、今この瞬間から作ることができます。

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この記事を書いた人

セキュリティ関連企業に10年以上勤務し、現場スタッフから管理職まで幅広い経験を積んできた防犯のスペシャリスト。

現場対応から、商品選定やスタッフ教育、サービス設計まで、防犯の最前線と裏側の両方を知るプロフェッショナル。

「みんなの安全」を掲げながら、実際には自社製品への誘導に偏る情報に疑問を抱き、中立的で本当に生活者の役に立つ防犯情報を届けるべく、情報発信プラットフォーム【じぶん防犯】を立ち上げる。

「昨日の最適が今日も最適とは限らない」
「じぶんでできる楽しい防犯」

という信念のもと、最新の犯罪動向と技術に常にアンテナを張り、個人が自ら選び、守れる防犯知識と実践方法を日々発信している。

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