じぶん防犯

「いかのおすし」はネットでも使える|子供のインターネット安全ガイド

「いかのおすし」は不審者から身を守るための防犯標語ですが、実はインターネット上の危険にもそのまま応用できます。内閣府の調査によると小学生のインターネット利用率は97.5%に達し、ネット上の犯罪被害は深刻な問題です。2024年の警察庁統計では、SNSに起因する犯罪の被害児童は1,486人にのぼります(出典:時事通信)。本記事では防犯設備士の視点から、「いかのおすし」のネット応用法と、「あとがこわい」「おぜのかみさま」などのネット防犯標語を体系的に解説します。

【結論】「いかのおすし」はインターネットでも子供を守れる

  • 警視庁の「いかのおすし」はネット上の危険にもそのまま応用できる
  • ネット専用の防犯標語「あとがこわい」「おぜのかみさま」も活用すると効果的
  • 標語で意識づけ+フィルタリング設定+家庭のネットルールの3層防御が重要

データで見る子供のネット被害──なぜ今ネット防犯教育が必要か

子供のインターネット利用が当たり前になった今、ネット上の犯罪被害は見過ごせない問題です。

SNS起因の犯罪被害児童1,486人(2024年警察庁データ)

警察庁の2024年統計によると、SNSに起因する犯罪の被害児童(18歳未満)は1,486人でした。5年連続で減少し過去10年で最少となったものの、依然として年間約1,500人の子供が被害に遭っています。

罪種別の内訳を見ると、深刻な傾向が見えてきます。

罪種被害者数前年比
児童ポルノ414人30.1%減
不同意性交等287人約3倍に増加
不同意わいせつ102人約3倍に増加

不同意性交等・不同意わいせつの被害が前年の約3倍に急増しており、SNSを通じた接触から重大な性被害に発展するケースが増えています。

被害の入口はSNS・オンラインゲーム・動画投稿

子供のネット被害は「見知らぬ大人からの接触」が起点です。SNSのDM(ダイレクトメッセージ)、オンラインゲームのチャット機能、動画投稿のコメント欄など、あらゆるプラットフォームが被害の入口になり得ます。

特に注意が必要なのは、高校生のインターネット利用方法について「誰にも教わらなかった」と回答した割合が**21.0%**にのぼる点です(出典:内閣府調査)。ネット安全教育を受けないまま利用を始めている子供が少なくありません。

「いかのおすし」をインターネットに応用する──5つの約束のネット版

警視庁の「いかのおすし」は対面での不審者対策の標語ですが、ネット上の危険にもそのまま読み替えて応用できます。

【イカ】ネットで知り合った人について「いかない」(会わない)

リアル版の「知らない人についていかない」は、ネットでは**「ネットで知り合った人に実際に会いに行かない」**になります。SNSやオンラインゲームで仲良くなった相手でも、実際に会うのは非常に危険です。相手が同年代を装った大人の可能性もあります。

【の】知らないリンク・アプリに「のらない」(クリックしない)

リアル版の「知らない人の車に乗らない」は、ネットでは**「不審なリンクやアプリに誘導されない」**と読み替えます。「無料でもらえる」「当選しました」などの誘い文句で危険なサイトに誘導する手口は、子供を車に乗せようとする手口と本質的に同じです。

【お】個人情報を「おしえない」

リアル版の「大声を出す」は、ネットでは**「名前・住所・学校名・写真などの個人情報を教えない」**に変わります。一度ネットに公開した情報は完全に削除することが困難です。本名、制服の写真、自宅周辺の風景など、特定につながる情報は投稿しないよう教えましょう。

【す】危険を感じたら「すぐ」画面を閉じる

リアル版の「すぐ逃げる」は、ネットでは**「怖い画面や不快なメッセージが表示されたら、すぐに画面を閉じる」**です。「消したら大変なことになる」「料金が発生します」などの脅し文句に惑わされず、まずブラウザを閉じることが大切です。

【し】困ったことは必ず大人に「しらせる」

リアル版の「大人に知らせる」は、ネットでもそのまま使えます。ネット上で怖い思いをしたり、困ったことがあったりしたら、必ず保護者や先生に知らせる──これが最も重要な約束です。「怒られるかも」と思って隠してしまう子供が多いため、「相談しても絶対に怒らない」と事前に伝えておくことが大切です。

「いかのおすし」のリアル版とネット版を比較すると、次のようになります。

文字リアル版ネット応用版
いか知らない人についていかないネットで知り合った人に会いにいかない
知らない人の車にのらない不審なリンク・アプリにのらない
おおごえをだす個人情報をおしえない
すぐにげるすぐ画面を閉じる
大人にしらせる困ったら大人にしらせる

ネット防犯標語「あとがこわい」「おぜのかみさま」を徹底解説

「いかのおすし」のほかにも、インターネットの危険に特化した防犯標語があります。代表的な2つを紹介します。

「あとがこわい」──福島県警の6カ条

「あとがこわい」は福島県警察が発表したインターネット被害防止の標語です。6つの「しないで」で構成され、SNSやネット上の具体的な危険行動を覚えやすくまとめています。

文字約束の内容
ネットで知り合った人に会わないで
自分の裸や下着姿を撮らないで
画像を送らないで
個人情報を載せないで
悪口を書き込まないで
ネットを使っていじめないで

特に「撮らないで」「画像を送らないで」は、自画撮り被害(セクスティング)の防止に直結する重要な約束です。

「おぜのかみさま」──群馬県の7つの約束

「おぜのかみさま」は群馬県が小中学生向けに作成したインターネット安全標語です。群馬県の名勝「尾瀬」にちなんだ覚えやすいネーミングが特徴です。

文字約束の内容防止する危険
写真をおくらない児童ポルノ被害
ネットで知り合った人にぜったいあわない性犯罪被害
個人情報をのせない個人情報漏洩
悪口などをかきこまないネットいじめ
有害サイトをみない有害コンテンツ接触
出会いをさがさないSNS・出会い系被害
ルールをまもるネット依存

3つの標語を比較──どれを使うべき?

3つのネット防犯標語の特徴を比較します。

項目いかのおすし(ネット応用版)あとがこわいおぜのかみさま
提唱元警視庁(応用)福島県警群馬県
対象年齢全年齢小学校高学年〜中学生小中学生
カ条数5つ6つ7つ
特徴リアル版との対比で覚えやすい自画撮り・画像送信対策に強い最も網羅的、ルール遵守も含む
おすすめ場面すでにいかのおすしを知っている子供への応用SNS利用を始める前の教育総合的なネット安全教育

どれか1つに絞る必要はありません。まず「いかのおすし」のネット応用版で基本を教え、SNS利用が本格化する年齢で「あとがこわい」や「おぜのかみさま」を追加するのが効果的です。

年齢別ネット安全教育ガイド

子供の年齢に応じて、教える内容と保護者の関わり方を段階的に変えていきましょう。

未就学児〜小学校低学年(〜8歳)──保護者管理型

この年齢では保護者がすべてを管理する段階です。端末は保護者の管理下で使わせ、使用時間も厳しく制限します。

  • 保護者の目の届く場所でのみ使用させる
  • YouTube Kidsなど子供向けアプリに限定
  • 「知らない人と話さない」のルールを教える
  • いかのおすしの基本(リアル版)をまず定着させる

小学校中学年(9〜10歳)──ルール理解型

中学年はルールの意味を理解させる段階です。なぜルールが必要なのかを説明し、自分で判断する力を育て始めます。

  • 「いかのおすし」のネット応用版を教える
  • 個人情報(名前・住所・学校名・写真)を投稿しないルールを徹底
  • 「怖いことがあったらすぐ画面を閉じて大人に相談」を約束
  • 通学路の安全対策と同様に、ネット上の「危険な場所」を教える

小学校高学年〜中学生(11歳〜)──自律型

高学年以降は自律的にルールを守る力を育てます。SNSの利用が本格化するこの時期に、「あとがこわい」「おぜのかみさま」の標語を追加で教えましょう。

  • 「あとがこわい」「おぜのかみさま」で具体的なリスクを理解させる
  • 「一度投稿した情報は消せない」(デジタルタトゥー)の概念を教える
  • 親子で定期的にSNSの使い方を振り返る時間を設ける
  • 子どもの防犯対策ガイドも参考に、オフラインの防犯と合わせて教育

年齢別の教え方比較表

年齢別の教育内容を一覧で整理します。

項目〜8歳(保護者管理型)9〜10歳(ルール理解型)11歳〜(自律型)
使用する標語いかのおすし(リアル版)いかのおすし(ネット版)あとがこわい・おぜのかみさま
保護者の関わり全て管理一緒に使う見守り+定期確認
端末管理保護者の端末を共用子供用端末(制限付き)自分の端末(ルール付き)
フィルタリング必須(強)必須(中)必須(段階的に緩和)
教え方「知らない人と話さない」個人情報の意味を説明リスクを自分で判断する力

プラットフォーム別のリスクと対策

子供が使うプラットフォームごとに、特有のリスクと具体的な対策を確認しましょう。

YouTube・TikTok──不適切コンテンツと個人情報露出

動画プラットフォームでは、不適切な動画への接触顔出し投稿による個人情報露出が主なリスクです。

  • YouTube Kidsの利用を推奨(13歳未満)
  • TikTokは13歳未満利用不可(利用規約)
  • 子供が動画投稿する場合、制服・自宅周辺の映り込みに注意

オンラインゲーム──チャット機能からの接触

オンラインゲームのチャット機能やボイスチャットを通じて、見知らぬ大人が子供に接触するケースが増えています。

  • ゲーム内チャットで個人情報を教えない
  • ボイスチャットでリアルの情報を話さない
  • 「ゲームで知り合った人に会わない」を徹底

LINE・Instagram──グループトラブルと画像流出

LINEのグループ内でのいじめや、Instagramでの画像流出がリスクとなります。

  • LINEグループで悪口を書かない(「あとがこわい」の「わ」「い」)
  • Instagramで自撮りを安易に投稿しない(「あとがこわい」の「と」「が」)
  • ストーリーズの「親しい友達」設定を確認

プラットフォーム別リスク比較表

主要プラットフォームのリスクと推奨対策を整理します。

プラットフォーム主なリスク推奨対策推奨年齢制限
YouTube不適切動画への接触YouTube Kidsを利用13歳未満はKids版
TikTok個人情報露出・接触アカウント非公開設定13歳以上
オンラインゲームチャットからの接触チャット機能を制限ゲームごとに確認
LINEグループいじめ既読文化のストレスを話し合う小学校高学年〜
Instagram画像流出・DM接触非公開アカウント設定13歳以上

家庭のネットルール作り|親子で決めるテンプレート付き

標語を教えるだけでなく、家庭のネットルールを親子で一緒に決めることが大切です。

ルール作りの3つのポイント

  1. 親が一方的に決めない──親子で話し合って決めると守りやすい
  2. 具体的に決める──「使いすぎない」ではなく「1日1時間まで」
  3. 定期的に見直す──成長に合わせて3〜6ヶ月ごとに更新

年齢別ネットルールテンプレート

家庭でそのまま使えるネットルールの例を紹介します。

小学校低学年向け(〜8歳)

  • インターネットはリビングで、おうちの人と一緒に使う
  • 使う時間は1日30分まで
  • 知らない人とメッセージのやりとりをしない
  • こわい画面が出たら、すぐ画面を閉じておうちの人に言う

小学校高学年〜中学生向け(11歳〜)

  • SNSのアカウントは非公開にする
  • 名前・住所・学校名・顔写真を投稿しない
  • ネットで知り合った人に絶対に会わない
  • 夜9時以降はスマホをリビングに置く
  • 困ったことがあったら必ず親に相談する(怒らない約束)

ルールが守れなかった時の対応

ルール違反があった場合は、頭ごなしに叱るのではなく「なぜルールがあるのか」を改めて話し合いましょう。ルールを守れなかった理由を聞き、必要であればルール自体を見直すことも大切です。一時的に端末を取り上げるのではなく、ルールの意味を理解させることを優先しましょう。

フィルタリング・ペアレンタルコントロールの設定ガイド

標語とルールに加え、技術的な対策も必ず実施しましょう。こども家庭庁も保護者向けにフィルタリングの設定を強く推奨しています。

iOS(スクリーンタイム)の設定手順

iPhoneやiPadでは「スクリーンタイム」機能でペアレンタルコントロールを設定できます。

  1. 「設定」→「スクリーンタイム」を開く
  2. 「コンテンツとプライバシーの制限」をオン
  3. 「コンテンツ制限」でWebサイト・アプリの制限を設定
  4. 「休止時間」で夜間の使用を制限
  5. スクリーンタイムのパスコードを設定(子供に教えない)

Android(ファミリーリンク)の設定手順

Android端末では「Google ファミリーリンク」アプリで管理できます。

  1. 保護者のスマホに「Google ファミリーリンク」をインストール
  2. 子供のGoogleアカウントをファミリーリンクに追加
  3. アプリの利用制限・インストール承認を設定
  4. 利用時間の上限と就寝時間を設定
  5. 位置情報の確認機能も合わせて設定

携帯キャリアのフィルタリングサービス

18歳未満の青少年に携帯電話を持たせる場合、フィルタリングの設定は法律(青少年インターネット環境整備法)で義務付けられています。各キャリアが無料のフィルタリングサービスを提供しています。

キャリアサービス名主な機能
NTTドコモあんしんフィルター有害サイトブロック・アプリ制限
auあんしんフィルター有害サイトブロック・利用時間制限
ソフトバンクあんしんフィルター有害サイトブロック・位置情報確認

契約時にフィルタリングの説明を受けていない場合は、各キャリアのショップで設定を依頼できます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 「いかのおすし」はインターネットでも使えますか?

はい、そのまま応用できます。「ついていかない→ネットで会いにいかない」「車にのらない→不審なリンクにのらない」のように読み替えることで、すでに知っている標語をネット安全教育にも活用できます。

Q2. 「あとがこわい」の意味と内容を教えてください

福島県警察が発表したインターネット被害防止の標語です。「会わないで・撮らないで・画像を送らないで・個人情報を載せないで・悪口を書き込まないで・いじめないで」の6つの約束の頭文字を取っています。

Q3. 「おぜのかみさま」の意味と内容を教えてください

群馬県が小中学生向けに作成したインターネット安全標語です。「おくらない・ぜったいあわない・のせない・かきこまない・みない・さがさない・まもる」の7つの約束で構成されています。群馬県の名勝「尾瀬」にちなんだネーミングです。

Q4. 子供のスマホにフィルタリングは必要ですか?

法律で義務付けられています。青少年インターネット環境整備法により、18歳未満が使う携帯電話にはフィルタリングの設定が必要です。各キャリアが無料のフィルタリングサービスを提供しています。

Q5. 子供がSNSで知らない人と繋がっていた場合どうすべきですか?

まず冷静に状況を確認しましょう。頭ごなしに叱ると、次から隠すようになる可能性があります。相手とのやり取り内容を確認し、個人情報を教えていないか、会う約束をしていないかを確認してください。危険なやり取りがある場合は、警察のサイバー相談窓口に相談しましょう。

Q6. ネットリテラシー教育は何歳から始めるべきですか?

インターネットを使い始めた時点から教育を始めましょう。未就学児でもタブレットを触る時代です。最初は「知らない人と話さない」「怖い画面はすぐ閉じる」の2つだけで十分です。年齢に応じて段階的に内容を増やしていきましょう。

Q7. オンラインゲームで子供が被害に遭わないためにはどうすればよいですか?

チャット機能の制限が最も効果的です。ゲーム内で本名・住所・学校名を教えない、ボイスチャットでリアルの情報を話さない、ゲームで知り合った人に会わないの3点を徹底してください。防犯ブザーと同様に、ネット上でも「助けを求める手段」を事前に教えておくことが大切です。

まとめ

「いかのおすし」はリアルの防犯だけでなく、インターネット上の危険からも子供を守れる標語です。ネット専用の「あとがこわい」「おぜのかみさま」と合わせて活用しましょう。

  • 「いかのおすし」5カ条はネットにそのまま応用できる(会わない・のらない・教えない・すぐ閉じる・知らせる)
  • ネット防犯標語「あとがこわい」は自画撮り被害防止、「おぜのかみさま」は総合的なネット安全に対応
  • 年齢別に保護者管理型→ルール理解型→自律型と段階的にレベルアップ
  • 家庭のネットルールは親子で一緒に決め、3〜6ヶ月ごとに見直す
  • フィルタリング設定は法律上の義務──各キャリアの無料サービスを必ず利用
  • 子供が相談しやすい環境づくりが最大の防御策(「怒らない約束」をしておく)

子供のネット安全は、標語で意識を育て、ルールで行動を決め、フィルタリングで技術的に守るという3層防御が基本です。まずは「いかのおすし」のネット応用版から親子で話し合ってみてください。

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この記事を書いた人
防犯設備士(公益社団法人 日本防犯設備協会認定)

防犯設備士として10年以上のセキュリティ業界経験を持つ。住宅・店舗・施設の防犯カメラ設置や防犯診断の現場経験をもとに、専門知識を一般の方にもわかりやすく発信している。

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