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【防犯のプロが完全監修】長期休暇の空き巣対策決定版!年末年始・GW・お盆の前に見るべき防犯チェックリスト

防犯スペシャリスト「守」

こんにちは。「じぶん防犯」代表の守(まもる)です。セキュリティ関連企業に10年以上勤務し、家庭用から業務用まで数多くの防犯対策に従事してきました。

こんにちは。「じぶん防犯」代表の守(まもる)です。セキュリティ関連企業に10年以上勤務し、家庭用から業務用まで数多くの防犯対策に従事してきました。

年末年始やゴールデンウィーク、お盆休みなど、楽しい長期休暇の計画に胸を躍らせている方も多いのではないでしょうか。

しかし、その一方で、家を長期間空けることに一抹の不安を感じていませんか?

その不安は、決して杞憂ではありません。実は、私たちが心待ちにしている長期休暇は、空き巣などの侵入窃盗犯にとって「絶好の稼ぎ時」となってしまうのです。

警察庁の統計データを見ても、侵入窃盗は依然として私たちの暮らしを脅かす深刻な問題です。特に、家主の留守中を狙う「空き巣」は住宅対象の侵入窃盗の1/4以上(25.7%)を占めています 。

侵入窃盗の手口別認知件数をみると、
空き巣が最も多く、侵入窃盗全体の約1/4を占めます。

引用:警察庁 住まいる防犯110番 侵入窃盗の手口別認知件数(令和6年)

さらに懸念すべきことに、長らく減少傾向にあった侵入窃盗の認知件数は、令和5年には増加に転じており、防犯への意識をこれまで以上に高める必要があります 。

刑法犯認知件数は、平成8年から平成14年にかけて増加し続け、同年には約285万件に達しました。その後、平成15年からは減少に転じ、令和3年まで減少してきましたが、令和6年は73万7,679件と、戦後最少となった令和3年から3年連続して増加(前年比4.9%増加)しています。

引用:警察庁 住まいる防犯110番 データで見る侵入犯罪の脅威

この記事では、防犯のプロである私が、10年以上の現場経験で培った知識と最新のデータを基に、皆さんが休暇に出発する前に必ずチェックすべき防犯対策を網羅した「決定版チェックリスト」をお届けします。

誰にでもすぐに実践できる基本的な対策から、最新のスマートホーム機器を活用した一歩進んだ防犯術まで、具体的かつ分かりやすく徹底解説します。

このリストを一つひとつ確認し、対策を講じることで、あなたの家は格段に安全になります。この記事が、皆さんの不安を解消し、心からリフレッシュできる素晴らしい休暇を過ごすための一助となれば幸いです。

目次

なぜ長期休暇は狙われるのか?空き巣の心理と最新手口

防犯対策を効果的に行うためには、まず敵を知ることから始めなければなりません。

空き巣はどのような思考で、どんな家を狙うのでしょうか。彼らの心理と手口を理解することが、的確な対策への第一歩となります。

プロはここを見ている!空き巣が「留守」を見抜く7つのサイン

空き巣は、決して闇雲に家を襲うわけではありません。彼らは犯行のリスクを最小限に抑えるため、事前に「下見」を行い、その家が確実に留守であるという「確証」を得ようとします。

私がこれまでの経験で見てきた、彼らが留守を見抜くための代表的なサインは以下の7つです。

郵便受けの状態

最も古典的で、かつ最も確実なサインです。新聞や郵便物、チラシがポストから溢れている状態は

「この家には数日間誰も出入りしていないな」

という何よりの証拠になります 。特に、年末年始に年賀状が何日も放置されている家は、格好のターゲットとなり得ます 。

夜間の照明

夜になっても家全体が真っ暗なまま。これは非常に分かりやすい留守のサインです 。かといって、毎日寸分違わず同じ時間にリビングの照明だけが点灯・消灯するようでは、タイマーを使っていることが見え見えで、やはり留守だと悟られてしまいます 。

洗濯物

洗濯物が何日もベランダに干しっぱなしになっているのも、住人が不在であることの有力な手がかりとなります 。

カーテンやシャッター

「防犯のために」と全てのシャッターや遮光カーテンを閉め切ってしまうと、かえって

「私たちは長期間家を空けます!」

と宣言しているようなものです 。泥棒は、こうした普段とは違う「閉ざされた家」を注意深く観察しています。

電話の応答

泥棒は、表札や電話帳などから入手した電話番号に電話をかけ、留守かどうかを確認することがあります 。何度かけても誰も出ない、あるいは「〇月〇日まで留守にしております」といった親切すぎる留守番電話メッセージは、泥棒に犯行のゴーサインを与えているのと同じです 。

家の周りの状態

玄関先に目印としてタバコの吸い殻や空き缶、ペットボトルなどを置き、翌日になってもそれが片付けられていなければ、留守である、あるいは住人の防犯意識が低いと判断します 。

SNSの投稿

「これからハワイへ出発!」

「沖縄のビーチ最高!」

といったリアルタイムでの旅行投稿は、現代における最大のリスクの一つです。これは、全世界に向けて自ら「私の家は今、完全に無防備ですよ」と発信していることに他なりません 。

これらのサインから分かるように、空き巣対策は単に物理的な防御力を高めるだけでは不十分です。

泥棒が下見の段階で

「この家は留守ではないかもしれない」
「この家は防犯意識が高く、侵入するにはリスクが高すぎる」

と感じさせるような、心理的な防御策を講じることが極めて重要になります。

物理的な対策と心理的な対策、この二重の守りを構築することが、鉄壁の防犯体制への鍵となるのです。

侵入窃盗の最新データ:あなたの家は大丈夫?

では、実際にどのような家が、どのような手口で被害に遭っているのでしょうか。警察庁の最新データを基に、侵入窃盗の実態を見ていきましょう。

狙われやすい住宅

侵入窃盗の発生場所として最も多いのは、残念ながら「一戸建住宅」で、全体の約3割を占めています 。

次いで「3階建以下の共同住宅」が多く、オートロックがあるからと安心はできません。一戸建住宅は窓や出入り口が多く、周囲からの死角も生まれやすいため、泥棒にとって侵入しやすい条件が揃っていると言えます 。

侵入窃盗の発生場所別認知件数は、一戸建住宅が29%
と最も多く、一般事務所が9.9%で生活環境営業が7%と続いています。

引用:警察庁 住まいる防犯110番 侵入窃盗の発生場所別認知件数(令和6年)

主な侵入経路

泥棒はどこから侵入してくるのでしょうか。データ上、圧倒的に多いのが「窓」で、住宅への侵入のおよそ半数を占めています 。

特に、2階だから大丈夫だろうと油断しがちなベランダの窓や、換気のために開けていることの多いトイレ、浴室の小窓などが狙われやすいポイントです 。

主な侵入手口

最も多い侵入手口は、意外にもピッキングなどの高度な技術ではなく、鍵のかけ忘れである「無締り(無施錠)」です。これは住宅への侵入窃盗全体の約半数にものぼります 。

次いで多いのが、ドライバーやバールなどで窓ガラスを割って侵入する「ガラス破り」です 。これらの事実から、日々の基本的な戸締まりの徹底と、窓の防犯強化がいかに重要であるかが分かります。

【一戸建て】
無締り 47.6%
ガラス破り35.7%
ドア破り 2.6%

引用:警察庁 住まいる防犯110番 侵入窃盗の侵入手口(※令和6年)

プロが解説する侵入を諦めさせる「5分の壁」

ここで、防犯対策を考える上で最も重要なコンセプトをご紹介します。それが「5分の壁」です。

警察庁の調査によると、侵入に5分以上かかると泥棒の約7割が犯行を諦め、10分以上かかると、そのほとんどが侵入を断念するというデータがあります 。

侵入に手間取り、5分かかると侵入者の約7割はあきらめ、10分以上かかると侵入者のほとんどはあきらめるといいます。「侵入に時間をかけさせる」。これが、侵入されるかどうかの大きなポイントになります


引用:警察庁 住まいる防犯110番 侵入者プロファイリング

泥棒にとって、犯行時間が長引くことは、誰かに見られたり、通報されたりするリスクが飛躍的に高まることを意味します。彼らはそのリスクを極端に嫌います。したがって、私たちの防犯対策の目標は、侵入を100%不可能にすることではありません。

「この家は侵入するのに時間がかかりそうだ」
「面倒でリスクが高い」

と泥棒に判断させ、ターゲットから外させること、これこそが現実的かつ効果的なゴールなのです。

この「5分の壁」という考え方は、補助錠や防犯フィルムといった様々な防犯グッズの価値を測るための「共通の物差し」となります。

これから紹介する様々な対策を検討する際には、常に「これは『5分の壁』を築くのにどれだけ貢献してくれるだろうか?」という視点を持つようにしてください。

そうすることで、単なる気休めの対策ではなく、戦略的で本当に意味のある防犯投資を行うことができるようになります。

出発前に必ず確認!基本の防犯対策8つのチェックリスト

それでは、いよいよ具体的な防犯対策のチェックリストをご紹介します。ここに示す8つの項目は、誰でもすぐに、そしてコストをほとんどかけずに実践できる基本的な対策です。

しかし、その効果は絶大です。出発の直前、荷物をまとめた後に、家族全員で一つひとつ指差し確認をしてください。

STEP
全ての窓とドアの施錠を再確認

基本中の基本ですが、これが最も重要な対策です。前章で述べた通り、住宅への侵入窃盗の約半数は鍵のかけ忘れ、すなわち「無締り」が原因です 。

せっかく高性能な鍵が付いていても、施錠されていなければ何の意味もありません。

確認ポイント

・玄関ドア、勝手口の主錠と補助錠
・リビングや寝室の大きな掃き出し窓
・見落としがちな場所として、 浴室の窓、トイレの窓、キッチンの小窓、2階の子ども部屋や書斎の窓、面格子が付いているからと油断しがちな窓など、家中の全ての窓をチェックします 。

習慣づけ

ゴミ出しや近所への短い買い物など

「すぐ戻るから」

という油断が最も危険です。ほんの数分の隙に被害に遭うケースは後を絶ちません 。普段から、家を離れる際は必ず施錠する習慣を身につけましょう。

STEP
郵便物・新聞の配達を停止する

ポストに溜まった郵便物や新聞は、泥棒に対する「留守です」という最大のメッセージボードです 。出発前に必ず手配を済ませておきましょう。

新聞

契約している新聞販売店に電話一本入れるだけで、指定した期間、配達を止めてもらえます 。

郵便物

最寄りの郵便局の窓口で「不在届」を提出します。これにより、届け出た期間中(最長30日間)、全ての郵便物を郵便局で保管してもらい、帰宅後にまとめて受け取ることができます 。

宅配便・その他

ネット通販などで不在期間中に荷物が届く予定がないか確認し、もしある場合は配送日時を変更しておきましょう 。生協などの定期宅配サービスを利用している場合も、忘れずに配達停止の手続きをしてください。

STEP
「在宅偽装」で留守を悟らせない

泥棒は「非日常」のサインを探しています。対策の基本は、家が「いつも通り」に機能しているように見せかける「日常性の維持」にあります。

照明の活用

タイマー付きの照明器具や、後述するスマート電球・スマートプラグを活用し、夜間、リビングなどの照明が点灯するように設定します 。ポイントは、毎日同じ時間ではなく、少しランダムな時間に点灯・消灯させることです。

音の活用

照明と合わせて、テレビやラジオをタイマーで短時間つけておくと、人の話し声が外に漏れ、在宅を装う上で非常に効果的です。特にラジオは、人の会話が自然に聞こえ、かつ消費電力が少ないためおすすめです 。

電話の対策

固定電話がある場合、可能であれば不在期間中は携帯電話への転送設定をしておきましょう 。これにより、泥棒からの「在宅確認電話」にも対応でき、留守を悟られません。

転送が難しい場合

留守番電話のメッセージ内容に注意が必要です。「〇月〇日まで旅行で留守にします」といった具体的なメッセージは絶対に入れてはいけません 。

代わりに

「ただいま電話に出ることができません。ご用件をどうぞ」

といった当たり障りのないものや

「迷惑電話対策のため、お名前とご用件をお願いします。確認後、折り返しご連絡いたします」

といったメッセージにしておくと、留守を確信されにくく、特殊詐詐対策としても有効です 。

STEP
カーテンを適切に使い分ける

カーテンの使い方も、在宅偽装の重要な要素です。

日中

厚手の遮光カーテンやシャッターを一日中閉め切っていると、かえって長期不在をアピールすることになります 。

日中は、外から中の様子が見えにくいレースカーテンやミラーカーテンだけを閉めておくのが良いでしょう 。これにより、プライバシーを守りつつ、人の気配を感じさせることができます。

夜間

夜間に照明をつけた際、レースカーテンだけだと中の人影が丸見えになってしまい、かえって誰もいないことがバレてしまいます。

理想は、スマートカーテンなどを活用し、夜になったら自動で厚手のカーテンも閉まり、朝になったら開くという、在宅時と同じサイクルを再現することです。

STEP
SNSへの投稿は帰宅してから

これは現代の防犯における鉄則です。旅行先での楽しい体験をすぐに共有したい気持ちはよく分かりますが、その投稿があなたの家の安全を脅かす可能性があります。

従来の泥棒は、ターゲットの家の前をうろついたり、聞き込みをしたりと、物理的なリスクを冒して下見を行う必要がありました。 

しかし、SNSの登場は、この犯行プロセスを劇的に変化させました。泥棒はもはや、危険な下見をする必要がありません。

自宅の安全な場所からターゲットのSNSを監視するだけで、

「今、この家は確実に留守だ」

という極めて精度の高い情報を、ノーリスクで手に入れることができるのです 。

徹底事項

旅行中のリアルタイム投稿は絶対にやめましょう。写真や思い出話の投稿は、必ず無事に帰宅してからにしてください。

追加の工夫

出発時に、玄関先で大きなスーツケースを持って家族で出ていく姿を近所の人に見られないようにする配慮も有効です。荷物は事前に宅配便で宿泊先や空港に送っておくと、目立たずに出発できます 。

STEP
家周りの整理整頓とゴミ出し

家の外観は、その家の住人の防犯意識を映す鏡です。整理整頓された家は、泥棒に

「この家の住人はしっかりしている。侵入は難しそうだ」

という印象を与えます 。

足場の撤去

エアコンの室外機の上や物置、脚立、コンクリートブロック、頑丈なポリバケツなどは、2階の窓へ侵入するための格好の足場になってしまいます 。家の周りに、足がかりになるようなものは一切置かないようにしましょう。

死角をなくす

庭木や生け垣が伸び放題になっていると、泥棒が身を隠すのに最適な場所を提供してしまいます 。出発前に剪定を行い、道路や隣家からの見通しを良くしておきましょう。

ゴミの処理

出発前には必ず家中のゴミを捨て、ゴミ箱も空にして清潔にしておきましょう 。特に、建物の周りに段ボールや古雑誌などを放置しておくと、放火の原因にもなりかねず危険です 。

STEP
貴重品の保管場所を分散させる

万が一、侵入されてしまった場合の被害を最小限に食い止めるための対策です。

危険な保管場所

現金、預金通帳、印鑑、宝飾品、キャッシュカードなどを、クローゼットのタンスの引き出しや仏壇、鏡台などにまとめて保管していませんか?これらの場所は、泥棒が侵入して真っ先に探す「ゴールデンゾーン」です 。

基本対策

・旅行に必要ない多額の現金は、家に置かず銀行の口座に入金しておきましょう 。

・通帳と印鑑、キャッシュカードは、必ず別々の場所に分けて保管してください 。例えば、通帳は書斎の本棚、印鑑はキッチン、カードは寝室、というように全く関連性のない場所に隠します。

・より安全を期すのであれば、銀行の貸金庫を利用することも有効な選択肢です。

STEP
近隣とのコミュニケーションと協力依頼

最新の防犯機器も素晴らしいですが、昔ながらの「ご近所の目」に勝る防犯システムはありません。

一声かける勇気

出発前に、信頼できる両隣や向かいの家の方に

「〇日から〇日まで留守にしますので、何か変わったことがあったらよろしくお願いします」

と一声かけておきましょう 。

「声かけ」の絶大な効果

ある調査では、泥棒が犯行を諦めた理由の第一位が「近所の人に声をかけられたから」でした 。普段見かけない人物が家の周りをうろついていれば、ご近所さんが不審に思ってくれる可能性が高まります。

協力のお願い

可能であれば、ポストにチラシが溜まっていたら抜いてもらうようお願いするのも非常に効果的です 。日頃から挨拶を交わし、良好な関係を築いておくことが、いざという時に大きな力になります。

ワンランク上の防犯対策:泥棒が嫌がる家を作る4つの原則

基本的なチェックリストを完璧にこなしたら、次はより積極的に泥棒を撃退するための「攻めの防犯」について考えていきましょう。

プロが防犯設計を行う際に最も重視するのは、「時間」「光」「音」「視線」という4つの原則です 。

これらの原則に基づいて対策を組み合わせることで、あなたの家は泥棒にとって「割に合わない」ターゲットへと変わります。

これは、泥棒の「低リスクで稼ぎたい」という合理的な判断を逆手に取った、極めて効果的な防犯戦略なのです。

原則1:「時間」を稼ぐ対策

前述の通り、泥棒に「5分」以上時間をかけさせることができれば、その約7割は侵入を諦めます。いかにして侵入までの時間を稼ぐか、これが防犯の要です。

ワンドア・ツーロックの徹底

全てのドアと窓に、補助錠を取り付けて「ワンドア・ツーロック(1つの扉に2つの鍵)」を標準にしましょう 。これは、侵入にかかる時間を単純に倍増させる、最も簡単でコストパフォーマンスの高い時間稼ぎの方法です。

特に、クレセント錠(窓についている半月型の鍵)は、それだけでは防犯性能が低いものが多いため、補助錠の追加は必須です。

窓の強化(防犯フィルム・防犯ガラス)
防犯フィルム

今ある窓ガラスの内側に特殊なフィルムを貼り付けることで、ガラスの強度を劇的に高めます 。ハンマーなどで叩かれても、ガラスはクモの巣状にひび割れるだけで簡単には貫通しません。

これにより、手を入れて鍵を開けるための穴を開けるのに時間がかかり、また、破壊する際の打撃音も大きくなるため、泥棒は犯行をためらいます。

防犯ガラス

新築やリフォームの際には、2枚のガラスの間に強靭な中間膜を挟んだ「防犯ガラス」の採用を検討しましょう 。フィルムよりもさらに高い強度を誇ります。

CPマークの重要性

防犯フィルムや防犯ガラスを選ぶ際に、絶対的な信頼の証となるのが「CPマーク」です 。これは、警察庁、国土交通省、経済産業省などが官民合同で定めた基準で、実際のプロの侵入手口(バールでのこじ開け、ドライバーでの打ち破りなど)を用いた試験を行い、「5分以上」の侵入抵抗性能が確認された製品にのみ与えられるマークです。

市場には「防犯」を謳う製品が溢れていますが、その性能は玉石混交です。CPマークは、消費者が「プロの攻撃に耐えうる性能」を客観的に判断できる唯一の公的な指標であり、製品選びの際の「ゴールドスタンダード」と言えます。

シャッター・雨戸・面格子の活用

これらは物理的な障壁として非常に強力です。ある調査では、シャッターを閉めている家への侵入被害件数は、開けている家に比べてわずか30分の1程だったと、驚くべきデータもあります 。長期不在時には、必ず全てのシャッターや雨戸を閉めましょう。また、浴室やトイレなど、常時閉めておける窓には、強度の高い面格子を設置することも極めて有効です 。

シャッター付きの窓について、シャッターを破壊しての侵入被害は15年間で7件だったのに対し、シャッターが空いていた状態での侵入が219件ありました

引用:旭化成ホームズ くらしノベーション研究所調査報告

原則2:「光」と「音」で威嚇する対策

泥棒は人に見られること、音を立てて目立つことを極端に嫌います。「光」と「音」は、彼らの隠密行動を妨害し、犯行意欲を削ぐための強力な武器となります。

センサーライトの設置

人の動きや熱を感知して、夜間に強い光をパッと照射するセンサーライトは、泥棒にとって最大の敵の一つです 。突然の光は犯人を驚かせ、威嚇する効果があります。

また、暗闇を照らし出すことで、犯人の姿を近隣住民や通行人の目にさらし、犯行を断念させる効果も期待できます。玄関、勝手口、ガレージ、庭の死角になりやすい場所など、複数の設置が理想的です。

防犯砂利を敷く

家の裏手や窓の下など、人が歩く可能性のある場所に、踏むと70デシベル以上(掃除機の音に相当)の大きな音が出る「防犯砂利」を敷き詰めます 。

音を立てずに静かに侵入したい泥棒にとって、この「ジャリ、ジャリ」という音は大きな心理的プレッシャーとなります。

「この家は音で侵入を検知しようとしている」

と防犯意識の高さをアピールする効果もあります。

窓用防犯ブザー(アラーム)

窓ガラスへの衝撃や振動、あるいは窓の開閉を検知すると、90デシベル以上(犬の鳴き声や電車のガード下と同等)の大音量で警報を鳴らす装置です 。

このけたたましい音は、犯人をパニックに陥らせて退散させるだけでなく、近隣住民に異常事態を知らせる重要な役割を果たします。両面テープで簡単に取り付けられる製品が多く、手軽に導入できる点も魅力です。

原則3:「視線」で諦めさせる対策

「誰かに見られているかもしれない」

という感覚は、泥棒にとって大きなストレスです。常に「視線」を感じさせる環境を作ることで、犯行を未然に防ぎます。

防犯カメラの設置

犯行の一部始終が映像として記録される防犯カメラは、泥棒が最も嫌がる設備の筆頭です 。カメラの存在に気づいた時点で、ターゲットから外す泥棒は少なくありません。玄関やガレージ、勝手口など、侵入経路となりうる場所に、外から見て分かりやすく設置することが抑止効果を高めるポイントです。

「見られている」という心理的効果

本物のカメラを設置するのが難しい場合でも、「防犯カメラ作動中」というステッカーを玄関や窓に貼るだけでも、一定の抑止効果が期待できます 。

泥棒に

「この家は防犯意識が高い」

と思わせることが重要です。

見通しの良い環境作り

高い塀や、手入れされずに生い茂った庭木は、泥棒に絶好の隠れ場所を提供してしまいます 。道路や隣家から家の周りがよく見えるように、塀は低く風通しの良いものを選び、庭木は定期的に剪定して死角をなくしましょう。オープンな外構は、それ自体が強力な防犯対策なのです。

カメラ付きインターホン

訪問者を映像で確認し、録画できるカメラ付きインターホンは、下見に来た不審者の顔を記録できるため非常に有効です 。インターホン付近に「録画中」と表示しておけば、さらに抑止効果が高まります 。

【2024年最新】スマートホームで実現する次世代の防犯対策

これまでの防犯対策は、一度設置したらそのまま機能するものが中心でした。しかし、テクノロジーの進化は、防犯の世界に革命をもたらしました。それが「スマートホーム」です。ここでは、IoT技術を活用した次世代の防犯対策をご紹介します。

なぜ今スマートホームなのか?防犯における3つの革命

スマートホーム機器を導入することで、私たちの家の防犯体制は、遠隔地にいても積極的に介入できるものへと進化します。

遠隔操作とリアルタイム監視

最大のメリットは、物理的に家にいなくても、スマートフォン一つで家の状態を完全にコントロールできることです。旅行先のハワイから、自宅の鍵が閉まっているかを確認したり、玄関先のカメラ映像をリアルタイムで見たり、リビングの照明をつけたり消したりすることが可能になります 。

これにより、これまでは不可能だったレベルの安心感を得ることができます。

高度な在宅偽装

従来のタイマーは、決まった時間にしか作動しませんでした。しかし、スマートホームなら、あなたの思い通りのタイミングで、よりリアルな在宅感を演出できます。

例えば、スマートカーテンを使えば、朝になったらカーテンが開き、夜になったら閉まるという生活リズムを再現できます 。スマートプラグに繋いだラジオを、旅行先から不規則な時間につけることも可能です。これにより、下見に来た泥棒の観察パターンをかく乱し、留守であることを見破られにくくします。

自動化と連携

スマートホームの真骨頂は、機器同士が連携して一連の動作を自動的に実行できる点にあります。

例えば、「窓の開閉センサーが侵入を検知したら、即座にあなたのスマホに警告通知を送り、同時に室内のスマートカメラが録画を開始し、全ての部屋の照明を点灯させ、スマートスピーカーから警告音を鳴らす」といったシナリオを組むことができます 。

これにより、異常発生から瞬時に防御と威嚇、証拠確保までを自動で行う、まさに要塞のようなシステムを構築できるのです。

かつて、こうした高度なセキュリティシステムは、警備会社と契約する高価なホームセキュリティが主流でした 。

しかし、技術の進歩と普及により、今では数千円から購入できる機器を組み合わせるだけで、誰でも手軽に導入できるようになりました。

工事不要で両面テープで貼り付けるだけの製品も多く 、賃貸住宅にお住まいの方でも安心です。高度な防犯は、もはや専門家や富裕層だけの特権ではないのです。

目的別・おすすめスマートホーム機器と活用術

ここでは、防犯目的で導入すべき代表的なスマートホーム機器と、その効果的な活用術をご紹介します。

スマートロック (Smart Locks)

機能

玄関ドアのサムターン(内側のつまみ)に後付けで設置し、スマートフォンでの施錠・解錠、指定時間後のオートロック、遠隔での施錠状態の確認、家族や友人への一時的な「合鍵」の共有などが可能になります 。

活用術

長期休暇で最も大きな安心材料となるのが、

「鍵、閉めたかな?」

という不安から解放されることです。

外出先からいつでもスマホで施錠状態を確認でき、もし開いていればその場でロックできます。オートロック機能は、普段のうっかりした閉め忘れも防いでくれるため、日常生活の安全性も向上させます。

スマートカメラ(ネットワークカメラ)

機能

Wi-Fiに接続し、スマートフォンでいつでもどこからでも家の内外のリアルタイム映像を確認できます。多くは、動きを検知して録画を開始しスマホに通知する「動体検知機能」、暗闇でも映像が確認できる「暗視機能」、カメラを通じて会話ができる「双方向通話機能」などを搭載しています 。

活用術

留守中のペットの見守りや子供の帰宅確認といった日常的な用途に加え、防犯面では絶大な効果を発揮します。不審な動きを検知した際に即座に通知を受け取り、映像で状況を確認。必要であれば、スマホからマイクを通じて

「警察に通報しましたよ!」

と直接声で威嚇することも可能です 。映像は証拠として警察に提出できます。

開閉センサー

機能

手のひらサイズの小さなセンサーをドアや窓、その枠に貼り付けるだけで、開閉を検知すると瞬時にスマートフォンに通知を送ります 。

活用術

これは、補助錠や防犯フィルムといった物理的な防御を突破された際の「最後の砦」として機能します。窓がこじ開けられた瞬間に異常を検知できるため、被害が拡大する前に警察に通報するなどの初動対応が可能になります。

他のスマート機器と連携させ、「窓が開いたら照明とサイレンがONになる」といった自動化設定も強力です。

スマート電球・スマートプラグ

機能

スマート電球は、既存の電球と交換するだけで、スマホで明るさや色の変更、ON/OFFの操作が可能になります。

スマートプラグは、コンセントと家電の間に差し込むだけで、その家電(照明、ラジオ、扇風機など)をスマホでコントロールできるようになります 。

活用術

これらは高度な在宅偽装の要です。旅行先から、まるで誰かが家にいるかのように、夜7時にリビングの照明をつけ、9時にラジオをつけ、11時に全て消す、といった不規則でリアルな生活パターンを演出できます。

これにより、泥棒の巧妙な下見を欺くことができます。

主要スマートホーム防犯機器 目的別比較表

どの製品を導入すれば良いか迷う方のために、目的別に主要な機器をまとめました。ご自身の予算や目的に合わせて、最適な組み合わせを検討してみてください。

目的機器タイプ代表的な製品主な機能想定価格帯こんな人におすすめ
鍵の閉め忘れ防止・遠隔確認スマートロック・SwitchBot ロック Pro
・Qrio Lock
・スマホで施解錠
・オートロック
・施錠状態の遠隔確認
・合鍵共有
¥5,000~¥25,000賃貸住まいで工事ができない人、鍵の閉め忘れが不安な人
留守中のリアルタイム監視スマートカメラTP-Link Tapo C225
(防犯スペシャリスト「守」も採用)
・スマホで映像確認
・動体検知通知
・暗視機能
・双方向通話
¥4,000~¥12,000ペットや子供の見守りも兼ねたい人、異常を即座に映像で確認したい人
窓やドアからの侵入検知開閉センサーSwitchBot 開閉センサー・ドアや窓の開閉を検知しスマホに通知¥2,000~¥5,000窓の防犯を強化したい人、低コストで侵入検知システムを構築したい人
在宅偽装・スマート電球
・スマートプラグ
・SwitchBot スマート電球
・TP-Link Tapo スマートプラグ
(防犯スペシャリスト「守」も採用)
・スマホで照明や家電ON/OFF
・スケジュールタイマー設定
¥1,500~¥4,000長期不在をより巧妙に隠したい人、手軽に在宅偽装を始めたい人
価格は2025年7月時点での想定です。

意外と見落としがち?外出先・旅行先での防犯対策

ここまで自宅の防犯対策について詳しく解説してきましたが、長期休暇の安全を守るためには、外出先や旅行先での防犯意識も欠かせません。

家だけでなく、あなた自身の安全もしっかりと守りましょう。

長期休暇中は、解放的な気分から注意が散漫になりがちです。特に、多くの観光客で賑わう場所や慣れない土地では、スリやひったくりといった犯罪のリスクも高まります。

ひったくり対策

ひったくり犯の多くは、バイクなどで背後から近づき、追い越しざまにバッグを奪い去ります。狙われないための簡単な工夫として、バッグを持つ際には必ず「車道と反対側の手」で持つように心がけましょう 。

また、肩にかけるだけのトートバッグよりも、体に密着させられる斜めがけ(たすき掛け)のバッグやリュックサックを選ぶと、より安全です。

防犯ブザーの携帯

万が一の事態に備え、防犯ブザーを携帯することをおすすめします。大きな音で周囲に危険を知らせ、犯人を怯ませて退散させる効果が期待できます。

防犯ブザーは子供が持つもの、というイメージがあるかもしれませんが、近年では大人が持っていても違和感のない、アクセサリーのようなお洒落なデザインのものも多数販売されています 。カバンやキーホルダーにつけておくだけで、いざという時の心強いお守りになります。

万全の対策で、心から休暇を楽しもう

ここまで、長期休暇を安心して過ごすための防犯対策について、プロの視点から網羅的に解説してきました。最後に、大切なポイントをもう一度振り返ります。

まず、何よりも重要なのは、誰でもすぐに実践できる「基本の防犯対策8つのチェックリスト」を、出発前に確実に実行することです。

施錠の再確認、郵便物の停止、在宅偽装、SNS投稿の自粛など、一つひとつの基本的な行動の積み重ねが、
泥棒に

「この家は狙えない」

と思わせる第一歩となります。

その上で、より積極的に家を守るために、泥棒の心理を突いた「時間・光・音・視線」の4原則を意識したワンランク上の対策を講じましょう。

補助錠や防犯フィルムで侵入に「時間」をかけさせ、センサーライトや防犯砂利の「光」と「音」で威嚇し、防犯カメラの「視線」で犯行を諦めさせる。

これらの対策を組み合わせることで、あなたの家は泥棒にとってリスクの高い、魅力のないターゲットになります。

そして、現代においてはスマートホーム機器の活用が、防犯対策を新たな次元へと引き上げてくれます。

遠隔からの監視・操作、高度な在宅偽装、機器同士の連携による自動防御システムは、かつてないほどの安心感をもたらしてくれるでしょう。

防犯対策は、「面倒なこと」「余計な出費」ではありません。それは、あなたが大切に築き上げてきた暮らしと財産を守り、そして何よりも、せっかくの休暇を心から楽しむための「必要不可欠な準備」の一つです。

少しの手間と工夫をかけるだけで、あなたは大きな安心を手に入れることができます。この記事のチェックリストが、あなたの家の安全を守り、素晴らしい長期休暇を過ごすための一助となることを心から願っています。

あなたの留守は、ここで学んだ知識と実践した対策が、きっと力強く守ってくれるはずです。

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この記事を書いた人

セキュリティ関連企業に10年以上勤務し、現場スタッフから管理職まで幅広い経験を積んできた防犯のスペシャリスト。

現場対応から、商品選定やスタッフ教育、サービス設計まで、防犯の最前線と裏側の両方を知るプロフェッショナル。

「みんなの安全」を掲げながら、実際には自社製品への誘導に偏る情報に疑問を抱き、中立的で本当に生活者の役に立つ防犯情報を届けるべく、情報発信プラットフォーム【じぶん防犯】を立ち上げる。

「昨日の最適が今日も最適とは限らない」
「じぶんでできる楽しい防犯」

という信念のもと、最新の犯罪動向と技術に常にアンテナを張り、個人が自ら選び、守れる防犯知識と実践方法を日々発信している。

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